2009年11月22日 (日) | Edit |
1996年アメリカ映画。
さえない中年男が計画した偽装誘拐が思わぬ方向に転がり大事件を引き起こす傑作犯罪スリラー

ノース・ダコタ州ファーゴ。雪深い田舎町のバーで、怪しい2人組自分の女房の誘拐を依頼したジェリー。ジェリーは、大金持ちの義父が経営する車のディーラーで働かして貰っている冴えない中年男です。なぜ自分の女房の誘拐を依頼したかというと、駐車場経営の為の資金が欲しかったからです。義父に出資を頼んでいましたが、断られていたのです。そこで、大金持ちの義父に8万ドルの身代金を出してもらい、怪しい2人組みと折半し、女房を無事に帰してもらって、自分の取り分の4万ドルで駐車場の土地の前金にするつもりでした。
怪しい2人組、大男でマルボロマンに似た無口なゲア小男で皮かむり(アソコ)のカールは、早速、ジェリーの女房を誘拐ミネソタ州のアジトへと車を走らせていましたが、途中、パトカーに車を止められてしまいます。小男のカールは、穏便に済ませようとしますが、大男のゲアは、何を思ったのか、突然警官の頭を掴み発砲撃ち殺してしまいます。ゲアは、警官の死体を片付けていたところを目撃した、車に乗ったカップルも続けざまに射殺します
翌日、3人の射殺事件が起こったと連絡を受けた、ミネソタ州のブレイナードの女警察署長マージは、身重の体(8ヶ月)を引きずりながら、独特でマイペースな捜査を開始します。
一方、そんなことが起こっているとは全く知らないジェリーは、駐車場の出資話を義父に承諾してもらえそうになり、慌てて計画の中止を要請しますが、事態はもう後戻りできない状態になっており……

予告編動画リンク

製作総指揮、ティム・ビーヴァン、エリック・フェルナー
製作、脚本、イーサン・コーエン
監督、脚本、ジョエル・コーエン
撮影、ロジャー・A・ディーキンズ
音楽、カーター・バーウェル
出演、フランシス・マクドーマンドスティーヴ・ブシェーミウィリアム・H・メイシーピーター・ストーメア、ハーヴ・プレスネル、ジョン・キャロル・リンチ

ジョエル・コーエン(兄)イーサン・コーエン(弟)は、常にコンビで映画を作り、「ミラーズ・クロッシング」「バートン・フィンク」「ノー・カントリー」などの代表作があります。古き良きアメリカ映画のエッセンスを、現代風にアレンジした作風で知られている、新世代の名匠です。
撮影のロジャー・A・ディーキンスは、コーエン兄弟のほとんどの作品で、撮影を担当しています。
音楽のカーター・バーウェルも、コーエン兄弟の作品のほとんど全てを担当しています。
フランシス・マクドーマンドは、この作品でアカデミー主演女優賞を獲得しました。私生活では、ジョエル・コーエンの奥さんでもあります。
スティーブ・ブシェーミウィリアム・H・メイシーピーター・ストーメアジョン・キャロル・リンチと、個性派で演技のうまい名脇役を揃えており、通好みのキャスティングとなっています。

フランシス・マクドーマンドの演技が素晴らしく、身重で人の良い善良な女警察署長を、ミネソタ訛りを含めて、チャーミングに演じています。
ポール・バニヤンの巨人像登場人物がTVを観ている場面(やたらと多い)が、この作品の虚構性を象徴しており、ストーリーも、最初の嘘がもとで、とんとん拍子に取り返しのつかない酷い事態にまで発展してしまう(嘘くさいほどに)というもので、コーエン兄弟は、運命に翻弄される登場人物を利用し、ユーモアと残酷さが同居した現代の寓話を作り出しています。
個人的に面白かったのが、ちゃっかりと自分の都合(駐車場経営のための資金)に合わせて、身代金の額を8万ドルから100万ドルに増額していた、メイシー演じるダメ男ジェリーの、コッソリとした、したたかさです。あとは、ポール・バニヤンよろしく斧を片手に相棒に襲い掛かるストーメア演じる大男ゲアの姿にも笑ってしまいました。


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2009年11月16日 (月) | Edit |
1960年アメリカ映画モノクロ作品。
人類全滅の危機を生き残った3人の男女が繰り広げるSF風(?)愛憎劇。

休暇でプエルトリコのリゾート地にやってきた大金持ちのハロルド(ギャンブル好きの自信家)妻のエヴリン(セクシー)。ハロルドは休暇だというのに、ギャンブルや仕事をするばかりで、妻のエヴリンは少々退屈気味。ハロルドはアメリカで訴訟を抱えており、休暇には顧問弁護士のマーティン(真面目な青年)も同行しています。
ハロルドは不満げなエヴリンをなだめる為、弁護士のマーティンも連れ、クルーザーで沖合いに出て、3人でスキューバーダイビングを楽しみます。そして、3人が海中からあがった時、何か地上に異変が起こっている事に気がつきます。明らかに空気が薄いのですマッチの火が点かないほどに
そこで酸素ボンベを吸いながら、リゾート地に戻った3人ですが、そこは地獄絵図でした。全員が酸欠で死に絶えていたのです。地上に何が起こったかは分かりませんが、一時的に地球上から酸素が無くなったようでした。酸素は元通りになったようですが、この世に3人しかいないという事実は変わりようがなく、唯一生き残った3人は、女1人男2人という(昔のドリカム的な)微妙な構成だった為、時間が経つほどに、なにやら男達の関係がギクシャクし始め……

予告編動画リンク

製作、監督、ロジャー・コーマン
脚本、ロバート・タウン
撮影、ジャック・マークエット
音楽、ロナルド・S・ステイン
出演、ベティー・ジョーン=モーランド、アンソニー・カーボン、ロバート・タウン

低予算早撮りの偉大なるB級映画監督ロジャー・コーマンは、この映画が撮られた同じ年に、「アッシャー家の惨劇」「リトル・ショップ・オブ・ホラーズ」という後世に残る2つの傑作を世に放っています。
ロバート・タウンは、「さらば冬のかもめ」「チャイナタウン」といった、アメリカンニューシネマ期の傑作の脚本を手がけています。

このDVDはモノクロですが、アメリカにはカラーのバージョンがあります。本来はカラーのようですが、なぜかWHD版はモノクロです。
プエルトリコ低予算早撮り(いつものように)で作られた映画で、「呪われた海の怪物」(過去に記事にしましたが)という激安ムッ●(ポンキッ●)モンスターがでてくる悪名高い映画もついでに作られています。
「地球最後の女」という題名が、1964年に作られた「地球最後の男」に影響を与えているかは謎ですが、非常に似ていることは確かです。ストーリーはそれほど似ていませんが、人けのない死体だけがある通りの描写ラストの教会などは影響を与えているような気がします。リチャード・マシスンの小説にインスパイアされて作られたのが「地球最後の女」で、リチャード・マシスンの小説を最初に映画化したのが、「地球最後の男」という位置づけでいいのではないかと思います。おそらくロジャー・コーマンは原作料などを払いたくなかったので、オリジナルストーリーにしたのでしょう(勝手な妄想です)
映画の中身はというと、専ら生き残った3人の微妙な心の動きを描くことに終始し、SF的な展開もホラー的な展開もほとんどありません。ほとんど会話でストーリーが進んでいき、ややこしい恋愛(不倫)映画になっているのが、とても珍しいです。
この作品は、それなりの人間ドラマに仕上がっており、出来はそんなに悪くないと思います(この手のB級作では)


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2009年11月11日 (水) | Edit |
1961年イギリス映画モノクロ作品。
ヘンリー・ジェイムズの小説『ねじの回転』を映画化した心霊ホラーの傑作。

19世紀イギリス。
とある富豪から、郊外にある屋敷の責任者兼姪と甥の家庭教師として雇われたギデンス。ギデンスは牧師の娘で、裕福ではないものの家族に囲まれ幸せに育った常識的な女性です。富豪は、身寄りのない甥と姪を引き取ってはいますが、本人はロンドンに住み、旅行や趣味に忙しく、子供達のことで自分が煩わせられるのを極度に嫌っています。なので、問題が生じても自分には知らせず、独自に解決して欲しいというのが、雇用の条件でした
いざギデンスが赴任してみると、そこは美しい田園や自然に囲まれた優美な場所でした。そして、そこに作られた、広大な庭園と瀟洒な大邸宅は、ギデンスにとって理想ともいっていいものでした
その邸宅に住むのは、富豪の姪の少女フローラとハウスキーパーのグロース婆さん。あとは、メイド2人と料理人と庭師の夫婦だけです。
優しくて綺麗なギデンスは、フローラにすぐに慕われるようになり、順調に職務をこなしていましたが、ある日、寄宿学校に預けられていた富豪の甥の少年マイルスが、学校を退学になって帰ってくることになります。
最初は、マイルスが退学になるほどの悪い子供かと心配していたギデンスですが、全然、そんな事はなく、とても素直でいい子なので、学校側の何かの間違えだと思ったギデンスは、さらなる愛情を込めて2人の世話をします。
素直な2人の子に慕われ、充実した日々を送るギデンス。しかし、最初は気のせいかと思っていた、何者かの声人影が、次第に、はっきりとした存在として、ギデンスの心を支配していきます。ここには、何かがいる、それは、この世ならざるものなのか?ギデンスは、だんだん精神的に追い詰められていき……

参考動画リンク

製作、監督、ジャック・クレイトン
原作、ヘンリー・ジェイムズ
脚本、ウィリアム・アーチボルド、トルーマン・カポーティ
撮影、フレディ・フランシス
美術、ウィルフレッド・シングルトン
音楽、ジョルジュ・オーリック
出演、デボラ・カー、ピーター・ウィンガード、メグズ・ジェンキンズ、マイケル・レッドグレイヴ、パメラ・フランクリン、マーティン・スティーブンス

イギリスの映画監督ジャック・クレイトンの他の作品に、「年上の女」「何かが道をやって来る」などがあります。
トルーマン・カポーティは、アメリカの小説家で、代表作に『ティファニーで朝食を』『冷血』などがあります。
フレディ・フランシスは、ハマー・プロの映画など、多数のB級ホラーやSFの監督をつとめていますが、撮影監督としては、たいへん有能な人物で、アカデミー撮影賞を2度受賞しています。
ジョルジュ・オーリックは、フランスの作曲家で、「美女と野獣」「ローマの休日」などの音楽を担当しています。
デボラ・カーは、アカデミー主演女優賞に6度ノミネートされた名女優です。無冠でしたが、のちにアカデミー名誉賞を受賞しています。
この映画で、子役のフローラを演じているパメラ・フランクリンは、後に大人になり、「ヘルハウス」での、エロティックで可憐な霊媒師役で、多くのホラーファン(男性)を虜にしました

映画中、随所に見られる性的ほのめかしと、家庭教師を演じるデボラ・カー神経症ともとれる演技が、単なる幽霊話に留まらず、サイコホラー的雰囲気をも醸し出しています。一歩間違えると、単なる欲求不満のメンヘル女の妄想になってしまうところを、見事な陰影の格調高い映像美“亡霊がそこにいる!”という、そっけない恐さの演出で、現実とも幻覚ともつかない、怪奇なムード溢れる、芸術的なゴシックホラーに仕上げています。
中でも、湖にたたずむ黒い服を着た女の亡霊のシーンは、出色の出来で、本来、人が居るはずのない場所に、人間のようなものが、ただ、たたずんで、何をするでもなく、そこにいる、それだけなのに背筋が凍るほどに恐いという、まさに心霊ホラー的恐さの真髄を見せてくれます。
後世のホラーに、多大なる影響を与えた作品です。是非観ましょう。


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2009年11月03日 (火) | Edit |
2003年製作アメリカ作品。
少女の霊を見た精神科医が悪夢と現実の境目を彷徨うサイコ・ホラー。

女性刑務所の精神病棟に勤務する女精神科医ミランダ。仕事も順調で、上司で夫のダグとも、うまくいっています。
豪雨の降りしきる、ある日、いつものように職場から、車で家に帰るミランダでしたが、途中、雨による道路の陥没で、迂回を余儀なくされます。視界の悪い中、迂回路の白い橋を渡りきった、ちょうどその時、車の目の前に不気味な少女が出現。衝突しそうになったミランダは車を止め、傷だらけのその少女を抱きしめ・・
3日後・・ミランダが目を覚ました時、そこは女性刑務所の精神病棟内の独房でした。ミランダは、夫のダグ殺しの容疑者として収容されていました
しかし、ミランダには、ダグを殺したのかも、自分の身に何が起こったのかも、何もかも全く分かりません。少女を抱きしめて以降の記憶が全くないのです
そして、混乱するミランダに追い討ちをかけるように、身の回りで、現実とも幻覚ともつかぬ出来事が起こるようになります……

予告編動画リンク

製作、ジョエル・シルバーロバート・ゼメキス、スーザン・レビン
監督、マチュー・カソヴィッツ
脚本、セバスチャン・グティエレス
撮影、マシュー・リバティーク
音楽、ジョン・オットマン
出演、ハル・ベリーロバート・ダウニー・Jr、チャールズ・S・ダットン、ジョン・キャロル・リンチ、バーナード・ヒル、ペネロペ・クルス

マチュー・カソヴィッツは、フランスの映画監督で、俳優もこなす多才な人物です。監督作では、「憎しみ」「クリムゾン・リバー」などがあります。
ハル・ベリーは、2001年に「チョコレート」で白人以外で初のアカデミー主演女優賞を受賞しました。
ロバート・ダウニー・Jrは、薬物で逮捕されるなど、お騒がせな俳優として知られていますが、アメリカでは根強い人気があり、広く愛されています。
ペネロペ・クルスは、スペイン出身の美人女優で、ウディ・アレン監督の「それでも恋するバルセロナ」で、アカデミー助演女優賞を受賞しています。かわいくて綺麗なので、個人的に好きな女優です。

監督としても有名な、ジョエル・シルバーロバート・ゼメキスが設立した、ダーク・キャッスル・エンターテイメント製作の映画です。
自分の身に起きていることは、悪夢なのか?狂気なのか?“Not Alone”という謎のメッセージの意味は?など、ミステリー仕立てのサイコ・スリラーで、ラスト近くまで結末の予想がつきません。カメラワークも凝っていますし、CGも控えめで目立たないところも好感が持てます。
ただ、ゴシカという題名がついていますが、ゴシック的なムードがあまり感じられないのは、残念です。
あと、ハル・ベリー強すぎるのも、ホラー的なムードを考えると疑問なところではあります。ハル・ベリーって、やっぱりホラー向きの役者じゃないんですよね。幽霊の方が逃げ出しそうな感じですし・・
まぁでも退屈することなく面白く観る事が出来たので、娯楽作としては合格点をあげれると思います。


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2009年10月29日 (木) | Edit |
2004年アメリカ作品。
遺伝子操作によって巨大化し変異した雷魚が人間を次々と喰らうモンスター・パニック。

河を奥深くまでさかのぼった湿地帯の沼地で、体のあちこちを喰いちぎられた異様な死体が発見されます。その死体の噛み傷は、沼地に棲息するアリゲーターとも他の生物とも別種の噛み傷で、とても大きな代物でした
検死官のサムと生物学者のメアリーは、その謎を解明すべく、沼地の近くのボートハウスが集まった小さな集落に向かいます。
そして、そこに住む漁師や住人に話を聞いてみると、ある日、怪しげな運搬船が上流に向かってから、魚やワニがいなくなるなど、周囲に異変が起こりはじめたというのです。そこで、住人の案内で上流まで調べにいくと、朽果て人けのない運搬船が放置してありました。早速、中を調べてみると、船の乗組員らしき人間は全て、無残な死体となって腐り、悪臭を放っていました。手がかりを失ったかに思えましたが、船の縁に魚らしき巨大なうろこが落ちていたのを発見し、なにかただならぬものを感じた2人は、案内の住人と共に、ボートハウスの集落に引き返そうとしますが……

予告編動画リンク

製作、アッシュ・シャー、デイビッド・ヒラリー、ティモシー・ピーターネル
監督、マーク・ディッペ
脚本、サイモン・バレット、スコット・クレヴンガー
撮影、エリオット・ロケット
音楽、ライアン・ビヴァリッジ
出演、トリー・キトルズ、チャイナ・チョウ、トーマス・アラナ、K・D・オーベール、マット・ローチ、ミューズ・ワトソン、トーマス・アラナ

マーク・ディッペは、ILM(インダストリアル・ライト&マジック)出身のイフェクツマンです。他の監督作に、「スポーン」などがあります。

ジョーズのエピゴーネンであることは間違いないのですが、無数にあるその手の作品(駄作ばかり)の中では、上位クラスにくるかもしれません。テンポがよく、勢いよく人が死ぬので、理屈抜きに楽しめますし、人体破壊も景気良く見せてくれます。目新しさはありませんが、観て退屈はしないと思います。
強引なストーリー展開と人体破壊描写が、ギャグすれすれのバカバカしい味になっていて、水面をのぞきこんだ男が、魚に首を丸ごとパクリとやられたり、イカレたナイスガイモンスターの心臓を丸焼きにして喰らったり、火事になり銃が暴発し意味のない死を迎えてしまう主役クラスや、火事により吹っ飛んだプロパンが、対岸のボートハウスに偶然当たって大爆発巻き込まれた女が爆風で吹っ飛んでいくシーンなど、かなり面白かったです。
ちなみに、フランケンフィッシュというのは、遺伝子組み換え魚という意味です。


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2009年10月22日 (木) | Edit |
1960年アメリカ映画モノクロ作品。
アメリカ南部に深く根を張る偏狭な価値観と差別を白日の下に晒す社会派ドラマ。

ぜービアは、特徴のある蛇柄のジャケットを着ているワイルドで詩的な色男で、スネーク・スキンとあだ名されていました。ニューオリンズでギターを弾きながら、自由気ままに暮らし、女には不自由することなく、ヒモのように貢いでもらったり、ワルの仲間とつるんだりして、浮き草のような生活を送っていました。しかし、30歳になり、警察の厄介になったのをきっかけに、仲間ともニューオリンズともオサラバし、堅気の暮らしを夢見て、新天地を目指し、ボロ車に乗り、ギター1つで、あてのない旅へ。
道中、豪雨に見舞われ、車がエンコしてしまったぜービアは、ある小さな町にたどり着きます。ぜービアは、保安官事務所に行き、一夜の宿を求めますが、ちょうど脱走事件があった様子で、そこには保安官の奥さんしかいませんでした。ぜービアは、奥さんに頼み、留置所に泊めさせてもらいます。そして、奥さんに身の上話をしていると、ちょうど町にある商店の人手が足りていないと言うので、職を紹介してもらいます。その商店は、病気でほとんど寝たきりですが、横暴で支配的な性格主人ジェーブが経営しており、実務は奥さんのレディ(精神を病み気味)が仕切っていました。
無事、店員として雇われたぜービアですが、時が経つにつれ、暗い過去を持つレディと深い関係になってしまいます。レディとジェーブの夫婦関係が冷め切っていた(政略結婚)事もあり、いつしか2人の間には深い愛が芽生えます。しかし、そんな日々も長くは続かず、2人の関係を悟り、逆上した主人ジェーブが、レディに対し発した一言が、事態を思わぬ方向へと……

参考動画リンク

製作、マーティン・ジュロー、リチャード・A・シェファード
監督、シドニー・ルメット
原作、脚本、テネシー・ウィリアムズ
脚本、ミード・ロバーツ
撮影、ボリス・カウフマン
音楽、ケニヨン・ホプキンス
出演、マーロン・ブランドアンナ・マニャーニジョアン・ウッドワード、モーリーン・ステイプルトン、ヴィクター・ジョリィ、R・G・アームストロング

シドニー・ルメットは、社会派の人間ドラマとサスペンスに定評のある監督で、代表作に、「十二人の怒れる男」「セルピコ」「狼たちの午後」「ネットワーク」「プリンス・オブ・シティ」などがあります。
テネシー・ウィリアムズは、アメリカの劇作家で、「欲望という名の電車」「熱いトタン屋根の猫」で、ピューリツァー賞の戯曲部門の受賞をしています。
マーロン・ブランドは、「ゴッド・ファーザー」でのビトー・コルレオーネ役「地獄の黙示録」でのカーツ大佐役が知られていると思いますが、若いころはワイルドな青春スターで、その立ち居振る舞いやファッションが、多くのアメリカの若者の支持を得るとともに絶大な影響を与えました。

この映画は、テネシー・ウィリアムズの戯曲『地獄のオルフェウス』の映画化です。題名で分かる通り、ギリシャ神話をモチーフとして、アメリカ南部閉鎖的な白人社会に存在する暗部を告発しており、黒人差別よそ者に対する不寛容、中世の魔女狩りを彷彿とさせるような町ぐるみでのリンチなどが描かれています。
何事にも抑圧的陰鬱人間関係の濃密なスモールタウン(冥府のような)で展開される愛の物語は、隠された過去の忌まわしい事件を暴き、主人公ぜービアと女主人レディとの間に思わぬ出来事を引き起こします。そして、冒頭からずっと暗示されていた、必然ともいえる悲劇的ラストへと突入していきます。
結果、最後に残ったのは何か?それは何を表しているのか?それは観て判断してください。
難しいのは苦手だという人もいると思います。確かに、作品解釈には、多少知識を必要とします。しかし、何も考えず娯楽的に観ても大丈夫な作品ですので、安心して鑑賞してください。


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2009年10月14日 (水) | Edit |
1972年製作アメリカ作品。
脱走したアパッチ族と追う騎兵隊の駆け引きと闘いを描いた西部劇。

インディアン居留地サン・カルロスから、アパッチの勇猛な戦士ウルザナ率いる小集団が脱走。
ウルザナ達は、アパッチ族らしく闘いを好み、周辺の開拓民を次々と襲撃し虐殺
事態を重く見たアメリカ陸軍は、士官学校を卒業したばかりの新米中尉デビュイン騎兵小隊を率いさせ、ウルザナ一味の掃討を命じます。そして、ベテランスカウトでアパッチ族を知り尽くした男マッキントッシュアパッチの戦士で斥候のケ・ニ・テイを小隊の補佐につけ、ウルザナの後を追わせますが……

参考動画リンク

製作、カーター・デ・ヘブン
監督、ロバート・アルドリッチ
脚本、アラン・シャープ
撮影、ジョセフ・バイロック
音楽、フランク・デ・ボル
出演、バート・ランカスターブルース・デービソン、ジョージ・ルーク、リチャード・ジャッケル、ホアキン・マルチネス、ロイド・ボックナー、カール・スウェンソン、ダグラス・ワトソン

ロバート・アルドリッチ監督とバート・ランカスターは、「ヴェラクルス」「アパッチ」「ワイルド・アパッチ」「合衆国最後の日」の4作でタッグを組んでいます。
脚本家のアラン・シャープは、「ラスト・ラン/殺しの一匹狼」「さすらいのカウボーイ」「ナイト・ムーブス」などの脚本を手がけています。
ジョセフ・バイロックは、アルドリッチ監督のほぼ全ての作品の撮影を担当しています。
フランク・デ・ボルも同じくアルドリッチ作品の音楽のほとんどを手がけています。
ブルース・デービソンは、「いちご白書」「ウィラード」の青年役が印象的でした、今でもなお活躍している息の長い役者です。

相容れない異質な価値観や文化、宗教観、死生観、それによって起こる争いや摩擦など、ともすれば重くなりがちなテーマを、アルドリッチ監督の豪快で硬質な演出によって、見事に相対化され、娯楽的にも満足できる多面的な映画に仕上がっています。残酷描写の多さや、苦い結末は、アルドリッチの、70年代に対する、映画人的したたかさを含んだメッセージだろうと思います。
この映画は、相容れぬものの闘争を執拗に描き続けたアルドリッチ監督らしい、観るだけで、男として一皮むけることが出来る(劇中の若き士官のように・・)力強いけれど静かな西部劇の異色な傑作です。
ちなみに、個人的に気に入ったシーンは、アパッチ族になぶり殺しにされた開拓民の口の中に、切り取った犬のアレが突っ込まれていて、アパッチに詳しいマッキントッシュが、「これはアパッチ族流のユーモアだ」と若い士官に説明するところです。アパッチ族の謎めいた雰囲気と戦士らしい振る舞い、そして残虐性が同居している複雑さが面白かったです。


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