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2011年12月02日 (金) | Edit |
1954年アメリカ作品モノクロ。
警備員を殺した2人組の強盗の運命を描いたクライムサスペンス。

高名な外科医グレゴール博士の子供には、ナースでしっかりものの姉、ギャングとつるみ不良化している弟がいました。
弟のダンはヴィックというギャングの手下になり、細かい悪事を働いていました。姉は父に迷惑がかかるから止めろというのですが、ダンは聞き入れようともせず、すぐにヴィックの元へ行ってしまいます。
ある日、ダンとヴィックが劇場の売上金狙いで、強盗に押し入った時、偶然通りかかった深夜勤務していた秘書に姿を見られてしまいます。ヴィックは、逃げる秘書を追って、口封じに弾丸を叩き込みます。一方ダンは、夜警に反撃され揉み合いになり、トリガーに手がかかり拳銃が暴発、夜警を殺してしまいます
ヴィックに銃弾を叩きこまれた秘書は、負傷はしたものの生きており、警察に証言をし、犯行はダンとヴィックの仕業だと露見します
警察に追われる身となったヴィックとダンは、隠れ家に引きこもりますが、罪悪感家族への想いにとらわれたダンはヴィックの制止を振り切り自首しようとします……

予告編動画リンク

製作、監督、脚本、エドワード・D・ウッド・Jr
脚本、アレックス・ゴードン
撮影、ウィリアム・C・トンプソン
音楽、ホイト・S・カーティン
出演、ライル・タルボット、ドロレス・フラー、ハーバート・ローリンソン、スティーヴ・リーブス、クランシー・マローン

エド・ウッド監督の代表作には、「プラン9・フロム・アウター・スペース」「グレンとグレンダ」などがあります。死後、ティム・バートン監督が「エド・ウッド」という映画を作りましたが、そのモデルとなった人物です。

この作品は、現在ネット上で全編観ることができます。
固定カメラでの平板な演出はエド・ウッドらしいですが、ストーリーとしてはなかなか面白い要素があると思います。例えば、強盗が整形手術を受けるのですが、包帯がぐるぐる巻きになった顔の包帯を取り、どんな顔になったか分かるシーンあたりは、作りようによっては衝撃的になるかもしれません。
自分はミンストレル・ショーがあるバージョンで観ましたが、ミンストレル・ショーのかわりにストリップがあるバージョンもあるらしいです。自分はストリップバージョンは未見なので何も言えませんが、気にする程でもないとは思います。どっちも本筋には関係ないですから。
エド・ウッドは最低映画のイメージが強いと思いますが、この映画は、最低というほどではないので、「プラン9・フロム・アウター・スペース」のような、サイテー過ぎて面白いというテイストは期待できませんので、あしからず。


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テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2011年11月24日 (木) | Edit |
1955年アメリカ作品。
スパルタの王妃ヘレンとトロイアの王子パリスの恋愛を中心にトロイア戦争を再現した歴史超大作。

現在から3000年以上前、交通の要衝にある都市国家トロイアは栄華を極め、非常に豊かな国でした。
そこに目をつけたギリシャの各都市国家は、戦争の口実を探していました。
トロイアの勇敢な王子パリスは、緊張状態を打開すべく、和平交渉を行うため、ガレー船でギリシャに向かいます。しかし途中で嵐に遭遇、難破してしまいます。奇跡的に陸地に打ち揚げられ、砂浜で気を失い横たわっているところを、地元の漁師とスパルタの王妃ヘレンに助けられたパリス。
パリスは王妃ヘレンの美しさに一目惚れしてしまい、一方王妃ヘレンもパリスの人柄に触れ、深く愛してしまいます
パリスは単独でギリシャの都市国家の指導者達に和平交渉に行きますが、あくまでも戦争を望むスパルタの王メネラオスに監禁されてしまいます。
それを知った王妃のヘレンは、パリスを脱出させ、共にトロイアへと駆け落ちします
しかし、そのことがギリシャ諸国のトロイアへの戦争の口実となり、ギリシャの大軍隊がトロイアに攻め込んでくるのでした……

参考動画リンク

製作、G・L・ブラットナー
監督、ロバート・ワイズ
原作、ホメロス
脚本、ジョン・ツイスト、ヒュー・グレイ
撮影、ハリー・ストラドリング
音楽、マックス・スタイナー
出演、ロッサナ・ポデスタ、ジャック・セルナス、サー・セドリック・ハードウィック、スタンリー・ベイカー、ナイアル・マクギニス、ノーラ・スウィンバーン、ロバート・ダグラス、トリン・サッチャー

ロバート・ワイズ監督作では、ミュージカル映画「ウエスト・サイド物語」「サウンド・オブ・ミュージック」が非常に有名だと思います。ただSFやホラーもよく撮っており、あらゆるジャンルで活躍した監督です。
ハリー・ストラドリングは、ミュージカル映画「マイ・フェア・レディ」の撮影をてがけています。
マックス・スタイナーは数多くの優れた映画音楽を手がけています。代表作は何といっても「風とともに去りぬ」ですね。
この映画でのロッサナ・ポデスタはとても美しく、アフロディーテといっても過言じゃないほどです。

この作品はDVDで観るより、映画館でシネマスコープサイズで観たほうがいいでしょう。当時もシネスコでカラーというのが、この作品のセールスポイントだったようです。といっても、映画館でこの作品がかかることはないでしょうから、DVDで観るしか、術はないのですが。
歴史スペクタクル映画全般にいえることなんですが、基本的に映画館で観なければ魅力が半減します。スケール感が全然違ってきますし、迫力も音響も違いますから。
ストーリーとしては王道で、トロイア戦争をトロイの側の視点で描いており、ヘレンとパリスの純愛ものとなっています。
ホメロスの原作を完全に映画化するのは不可能ですので、他のキャラクターの掘り下げなど足りない部分や、説明不足は仕方のないところでしょう。しかし、トロイの城塞の巨大なセット一万人のエキストラを動員した大規模な攻城戦のシーンなど、予算と人員をかけたスペクタクルは十分に堪能できます。
ちなみに若きブリジット・バルドーが召使役で出演しています。


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2011年01月16日 (日) | Edit |
1956年イギリス映画モノクロ。
ジョージ・オーウェルのディストピアン小説「1984」の映画化作品。

全世界に核戦争が勃発。世界は、オセアニアユーラシアイースタジアの3つに分割統治されます。3つの国は互いに衝突、争いを繰り返しています。
その中のひとつの国、オセアニアは、ビッグ・ブラザーという男が独裁政治を行っており、階級制度や相互監視制度のある超管理社会を作っています。あらゆる人々は洗脳され、自由な振る舞いなどとても出来ないような、高度に統制されシステム化された社会に生きています。
1984年。
情報の管理をする真理省の下級役人ウィンストン・スミスは、街の古道具屋で、偶然過去の一冊の日記を入手します。家に持ち帰り、日記をつけるためには、どの家にも備えられているテレスコープという双方向監視システムの目を逃れて書かなければいけません。なぜならば日記を書くことは、重大犯罪だからです。
ウィンストンの仕事は、文書の改ざんや歴史の修正です。国家の都合のいいように物事を書き換えるのです。
そんな日々に嫌気のさしていたウィンストンは、国家に禁止されている日記を書き、ささやかな抵抗をしていました。そんな鬱屈した日々ですが、同僚の女性ジュリアと恋に落ち、国家に禁じられた自由恋愛を始めた事で、ウィンストンの人生は大きく変わっていき……

参考動画リンク

製作、ピーター・ラスフォン
監督、マイケル・アンダーソン
原作、ジョージ・オーウェル
脚本、ウィリアム・P・テンプルトン、ラルフ・ベティスン
撮影、C・ペニントン・リチャーズ
音楽、マルコム・アーノルド
特殊効果、ジョージ・ブラックウェル
出演、エドモンド・オブライエン、ジャン・スターリング、マイケル・レッドグレーヴドナルド・プレザンス、デヴィッド・コソフ、マーヴィン・ジョンズ

マイケル・アンダーソンはイギリスの監督で、主な作品に、「暁の出撃」「80日間世界一周」などがあります。
マルコム・アーノルドは、「戦場にかける橋」の音楽で有名です。
エドモンド・オブライエンは、「裸足の伯爵夫人」でアカデミー助演男優賞を獲得している名優です。
マイケル・レッドグレーヴは、イギリスの名優で、子供や孫も役者になっています。
ドナルド・プレザンスは、ある意味何でも屋ですが、その演技力には定評があります。どんな役でも演じる事のできる素晴らしい役者です。

恋愛や行動が全て制限され、1つの思想や価値観しか認められない社会。相互に監視し、子供は早くから洗脳され、全てにおいて統制された世界。そこには、自由が全くない。もちろん自由恋愛も禁止。
そして政府や国が流す情報が、たとえ嘘だったとしても、それを盲信しなければいけない。不穏分子は、処分。
これ以上の恐怖って、あるのだろうかって思います。ある意味、一番恐いホラーじゃないでしょうか。
こんな世界になったら、どうなるのか・・これは恐い恐い映画ですよ(淀川先生風)


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2010年10月10日 (日) | Edit |
1951年製作アメリカ作品。
皇帝ネロの時代のローマ帝国とキリスト教徒の受難を描いた歴史大作。

紀元64年。第14軍団長マーカス・ビニキウスが、副官ナーバと共に、アッピア街道を通りローマに凱旋。ビニキウスは、若くてハンサムな逞しく有能な指揮官です。
ローマ兵士達は、ブリテンとの3年に及ぶ戦いで疲れきり、故郷に一刻も早く帰りたがっています。しかし、皇帝ネロの命により、ローマの手前で待機し宿営することを余儀なくされます。
そこで兵士達を気遣ったビニキウスは、直接ローマの皇帝ネロの宮廷に出向きます。宮廷には叔父のペトロニウスがおり、ペトロニウスのはからいで、皇帝ネロに謁見する事が出来たビニキウスは、直接皇帝ネロに対し、ローマに兵士達が入れない事に対しての真意を尋ねます。すると、皇帝ネロは、別の軍団が次の日には凱旋してくるので、一緒に凱旋式を行いローマの権勢をアピールするのだといいます。
ペトロニウスにとりなされ、納得したビニキウスは、ペトロニウスの紹介で、一晩、元将軍のプラウティウスの家に宿泊する事になります。
そこで、ビニキウスは、美しい娘リジア運命の出会いをします。リジアは、将軍の養女で、元は人質としてローマに連れてこられた娘でした。ビニキウスは一目で心を奪われますが、実はリジアは、ローマ帝国とは相容れない教義を持つクリスチャンでした……

参考動画リンク

製作、サム・ジンバリスト
監督、マーヴィン・ルロイ
原作、ヘンリク・シェンキェヴィチ
脚本、ジョン・リー・メイヒン、S・N・バーマン、ソーニャ・レヴィエン
撮影、ロバート・サーティースウィリアム・V・スコール
音楽、ミクロス・ローザ
出演、ロバート・テイラーデボラ・カーレオ・ゲンピーター・ユスチノフ、パトリシア・ラファン、フィンレイ・カリー、エイブラハム・ソファー、マリア・ベルティ

当初の監督は、ジョン・ヒューストンだったのですが、MGM上層部と意見が合わず降板し、その後をマーヴィン・ルロイが引き継ぎ、この映画を完成させました。マーヴィン・ルロイ監督の主な作品に、「犯罪王リコ」「東京上空三十秒」「若草物語」「悪い種子(たね)」などがあります。
撮影のロバート・サーティースウィリアム・V・スコールは、共に一流の撮影監督です。どちらもオスカー受賞歴があります。
音楽のミクロス・ローザは、大作史劇が似合う、本格派の音楽家です。主な作品に、「白い恐怖」「ベン・ハー」「プロビデンス」などがあります。
レオ・ゲンは、元法律家で、ジョン・ヒューストンと相性が良く、皇帝ネロの側近で『サテュリコン』を執筆したといわれる史実の人物ペトロニウスにピッタリだという事でキャスティングされました。レオ・ゲンは、その期待に違うことなくペトロニウスを見事に演じています。
暴君ネロを演じたピーター・ユスチノフは、当時はまだ若く、大抜擢に近い配役でしたが、見事に名優振りを発揮し、狂気とユーモアを感じさせる独特なネロ像を創り上げ、素晴らしい演技を披露しています。
ちなみに、皇帝ネロに迫害されるキリスト教の信者役で、エリザベス・テイラーソフィア・ローレンがカメオ出演しています。

この作品は、ノーベル賞作家ヘンリク・シェンキェヴィチのエピック『クォ・ヴァディス』の映画化で、50年代のハリウッドにおいて、歴史超大作の火付け役となった作品です。クォ・ヴァディスとは、ラテン語で「どこに行くのか」という意味で、ペテロ(ピーター)が、ローマの郊外に現れた主に対し問いかけた言葉です。主はペテロに「我が民の為、もう一度十字架にかかりにローマへ」と言い、ペテロに、迫害されている信者達の窮地を伝えると共に、進むべき道を教えました。全てを悟ったペテロは、ローマに戻り、キリスト教の指導者として、バチカンの丘にて、自ら望んで逆さ磔にされ殉教しました。その殉教したとされる場所に、サン・ピエトロ大聖堂が建立されています。
この映画は、壮大なスケールのスペクタクルローマ史劇で、エキストラは最大3万人(6万人という説も)ともいわれ、大量の物資とスタッフを動員し、豪華なセットや衣装と共に、イタリアのチネチッタスタジオで製作されました。ロケ撮影も行われ、第二次世界大戦から復興していないイタリアは、さながら古代ローマのようであったといいます。ローマに続くアッピア街道も、ほぼそのまま撮影されたそうです。
大量のエキストラを動員したモブシーンや豪華な宮廷のセットは圧巻で、50年代のアメリカ資本でしか作れないスケールの大きさがあり、ストーリーとしては宗教的色彩が濃いですが、無宗教の人でも充分に観る事が出来る作品だと思います。恋愛ありアクションあり人間ドラマありの、盛りだくさんの娯楽作です


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2010年08月22日 (日) | Edit |
1951年アメリカ作品モノクロ。
太平洋の孤島にて失われた太古の恐竜が棲息していたという特撮SF。

冷戦下のアメリカ。
最高軍事機密原子力ロケット飛行実験中に謎のトラブルが発生。原子力ロケットは太平洋上で墜落し消息を絶ってしまいます。原子力研究の権威ロストフ博士ブリグス博士は、計算とは違う異常な事態の原因究明と他国への技術流出を防ぐ為、アメリカ空軍にロケット回収を依頼します。
そこで緊急招集されたのは、腕利きパイロットのノーラン少佐。ノーラン少佐は、旧知のウィルソン大尉とメカニックのタトロー軍曹を選抜し、ロストフ博士ら専門科学者(ブリグス博士とフィリップス博士)とロケット捜索任務に赴きます。
太平洋上に墜落したロケットを飛行機にて捜索していると、ちょうどロケットが消息を絶った地点に、島があるのを発見します。するとその瞬間、飛行機の計器類が全て止まってしまい、一行はあわや海の藻屑に
ノーラン少佐とウィルソン大尉の飛行技術で、なんとか島に不時着する事ができた一行は、辺りを偵察することにします。すると原住民の若い娘と男の子がいたので、話を聞いてみると、神の山の頂上に火を放つ何かが飛んでいったので、村人達は神の怒りだと恐れをなし全員逃げ出してしまったと言うのです。その話を聞き、飛んでいったのはロケットだと気がついた一行は、嫌がる原住民神の山のふもとまで案内してもらい、頂上を目指し登山を開始します。道なき道を進み、時にはロッククライミングしながら、危険な山道を登る一行。
途中、ブリグス博士が転落死しながらも、なんとか登頂に成功した一行ですが、そこで目にした光景は信じられないものでした。そこには、中生代の植物が生い茂り絶滅したはずの恐竜が闊歩していたのです……

予告編動画リンク

製作総指揮、ロバート・L・リッパード
製作、シグマンド・ニューフェルド
監督、サム・ニューフェルド
原案、キャロル・ヤング
脚本、リチャード・ランドー
撮影、ジャック・グリーンハル
特殊効果、レイ・マーサー
アニメーター、エドワード・ナッソー
音楽、ポール・ダンラップ
出演、シーザー・ロメロ、ジョン・ホイト、チック・チャンドラー、ホイット・ビッセル、ヒラリー・ブルック、シド・メルトン

エドワード・ナッソーは、「原子怪獣ドラゴドン」の監督として知られて(?)います。

こういう作品を観る目的は、ほとんどの人が、「恐竜のコマ撮りアニメを観たい」という一点にあると思うので、その点から述べていきます。
端的にいうと、恐竜が出てくるまでがとにかく長い!という事です。延々とロッククライミングが続いた後、一時間弱ほど経って、ようやく恐竜が現れます。
まずは、実写のイグアナ(?)が出現します。その後ストップモーションアニメで、ブロントサウルストリケラトプス翼竜の3種類が出現します。
アニメーションの出来は割りと良く、2匹のトリケラトプスの喧嘩シーン観る価値ありだと思います。個人的な感想をいえば、トリケラトプスが、お互いにハムハムしてるのは、可愛くて微笑ましいと思いました(殺し合いなんですけどね・・)
ブロントサウルスもトリケラトプスも草食なのにもかかわらず、肉食獣のように調査隊に襲い掛かかるのは少し違和感がありますけど、放射能で凶暴化しているんだと思えば、そんなに気にはならないと思い・・ます。


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2010年08月12日 (木) | Edit |
1954年製作アメリカ作品モノクロ。
犯罪組織のボスとそれを追う警部補が対決するフィルム・ノワールの隠れた傑作。

NY。
組織犯罪を撲滅すべく、並々ならぬ執念を燃やす、レナード・ダイアモンド警部補犯罪組織の親玉ブラウン氏の尻尾をつかむべく、予算人員をかけ、長期間に渡って調査しています。
しかし、一向にあがらぬ成果に、警察署内からの風当たりも強くなり、捜査の打ち切りを示唆されます
ブラウン氏は、会計係から、人一倍の度胸と根性でボスの座にまで成り上がり、「人を憎悪し、大金をつかむ、女はそれを嗅ぎつけ、寄ってくる。」と豪語するような男。
ブラウン氏には、スーザンという情婦がおり、ブラウン氏にはとても似つかわしくない、育ちの良い、根が善良な娘です。ダイアモンド警部補は、リタという踊り子と付き合っていながらも、心の底ではスーザンに強く魅かれ執着しています
ブラウン氏逮捕にも、異常なほどの執着をみせるダイアモンド警部補は、ある日アリシアという謎の女の存在がブラウン氏逮捕のきっかけになると気付きます。しかしブラウン氏も黙って逮捕されるのを待つような人間ではなく……

参考動画リンク

製作、シドニー・ハーモン
監督、ジョーゼフ・H・ルイス
脚本、フィリップ・ヨーダン
撮影、ジョン・オルトン
音楽、デイヴィッド・ラクシン
出演、コーネル・ワイルド、リチャード・コンティブライアン・ドンレヴィ、ジーン・ウォレス、ロバート・ミドルトン、リー・ヴァン・クリーフ、アール・ホリマン、ヘレン・ウォーカー

ジョーゼフ・H・ルイス監督のもう1つの傑作フィルム・ノワールに「拳銃魔」という作品があります。
脚本のフィリップ・ヨーダンは、赤狩りによってハリウッドのブラックリストに載った脚本家のフロント(名義貸し)をしていた人物で、本人が脚本を手がけていない事が多々あるので、この作品でも本当に脚本を手がけたのかは分かりません。
撮影のジョン・オルトンは、早撮りと照明の達人で、「巴里のアメリカ人」アルフレッド・ギルクスと共にアカデミー撮影賞を獲得しています。
デイビッド・ラクシンは、「ローラ殺人事件」の主題曲やTVドラマ『ベン・ケーシー』のタイトル音楽などを手がけています。
ブライアン・ドンレヴィの出演作に、フリッツ・ラング監督の傑作「死刑執行人もまた死す」やSF映画の傑作「原子人間」があります。
リチャード・コンティは、「ゴッド・ファーザー」でドン・バルジーニを演じていました。
マカロニウエスタンでお馴染みのリー・ヴァン・クリーフが、ブラウンの手下ファンティ役で出演しています。

スピーディーなストーリー展開とクールな白黒の映像美、これぞフィルム・ノワールといった感じの作品です。しかし、フィルム・ノワールの宿命である低予算ゆえに、組織の構成員が極端に少ないので、犯罪組織ではなく、中小企業のワンマン社長とDQN部下みたいな、チンケなグループに見えてしまうのが玉に瑕です。さらには作品内でイタリア系の組織だとほのめかしてはいますが、ボスの名前がブラウンというイタリア系でもなんでもない名前で、またイタリア的な日常描写もないので、マフィアものという感じは全くしません。
劇中に、主人公が、犯罪組織の連中に、椅子に縛られ拷問されるシーンがあるのですが、「レザボア・ドッグス」での椅子に座らせた警官を拷問するシーンにそっくりです。そういえば「レザボア・ドッグス」の中でのタランティーノは、ミスター・ブラウンという役どころだったなぁと思い、実は密かに影響を与えているのでは?と思いました。お互いを色で呼び合うのは、「サブウェイ・パニック」からというのは分かっていますが、この映画の影響も少しはあったのかもしれないと思うと面白いものです。


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2009年12月04日 (金) | Edit |
1957年アメリカ映画モノクロ。
連続強盗に間違えられ逮捕された男の実話をもとにしたサスペンスドラマ。

NYの高級クラブで、生バンドのベーシストの仕事をして生活している、真面目な男クリストファー・エマニュエル・バレステレロ。クリストファーは、お酒も飲まず毎日必ず定刻に帰ってくるような家族思いの家庭人です。美しい妻ローズ2人の可愛い男の子にも恵まれ、貧しいながらも幸せな日々を送っていました。
ある日、妻のローズが、親知らずが生えてきて苦しんでいたので、クリストファーは、ローズの歯の治療費の捻出の為、保険証書を担保にお金を借りに、保険会社の窓口に行きます。しかし、それが、クリストファーと家族の運命を大きく狂わせることになります
窓口に向かったクリストファーを見て、窓口の係員やその同僚達は驚愕します。以前、押し入ってきた強盗に顔が瓜二つなのです。そして、クリストファーに気付かれないよう警察に通報。結果、クリストファーは警察に逮捕されてしまいます
取調べで、クリストファーは無実を訴えますが、筆跡鑑定で犯人と同じスペルミスをしてしまった事で、状況は不利に傾きます。目撃者の証言でも、クリストファーが犯人だという証言者ばかりで、拘置所のクリストファーは、絶望感にさいなまれます
それでもクリストファーは無実を証明する為、身内に保釈金7500ドルを借金し、良心的な弁護士オコーナーに弁護を依頼します。そして、妻のローズと共に、アリバイを証明してもらえる証言者を見つけますが、訪ねてみると、証言者は、いずれも亡くなっていました
耐えに耐えてきましたが、ここにきて、心労と疲労でローズの精神は限界に達し、とうとうノイローゼになってしまいます。
神に見放されたかのように、次々と不幸が重なるクリストファーと家族は、一体どうなってしまうのでしょうか……

予告編動画リンク

製作、ハーバート・コールマン
監督、アルフレッド・ヒッチコック
原作、脚本、マックスウェル・アンダーソン
脚本、アンガス・マクファイル
撮影、ロバート・バークス
音楽、バーナード・ハーマン
出演、ヘンリー・フォンダヴェラ・マイルズアンソニー・クエイル、ハロルド・J・ストーン、チャールズ・クーパー、ジョン・ヘルダブランド、エッシャー・ミンシオッティ

この作品以降のヒッチコック監督は、円熟期と言っていい時期に入ります。1956年「知りすぎていた男」から1963年「鳥」までの、フィルモグラフィの凄さは、誰しもが認めるところでしょう。
ロバート・バークスは、ヒッチコック監督作でも傑作と名高い作品の多くの撮影を担当しており、「泥棒成金」では、アカデミー撮影賞を獲得しています。
バーナード・ハーマンは、「サイコ」の音楽が有名ですが、他にも、「市民ケーン」「めまい」「北北西に進路をとれ」「愛のメモリー」「タクシー・ドライバー」など、幾多の傑作映画音楽を残しています。
名優ヘンリー・フォンダの他の代表的な出演作に、「モホークの太鼓」「怒りの葡萄」「荒野の決闘」「十二人の怒れる男」「ウエスタン」などがあります。
ヴェラ・マイルズは、この作品の撮影中、ジョン・フォード「捜索者」と掛け持ちで撮影していた為、イギリス、アメリカの両巨匠から、それぞれ、フォードには「芝居がイギリス臭いぞ」とか、ヒッチには「頭に藁がついてるぞ」などと、からかわれたそうです。

シリアスリアリスティックな作りの映画で、NYロケといい、あからさまな宗教色といい、セミドキュメンタリータッチの手法といい、ヒッチコック作品の中でも、とりわけ異色です。
重くて暗いストーリーで社会的な映画なので、ヒッチコックのカメオ出演シーンは劇中には無く、冒頭で音楽ステージから、これから観る映画の紹介をするという形式での出演に止まっています。
印象的なのは、ヘンリー・フォンダの演技で、都市に住む普通の男を演じきっています。目の演技が最高だと思います。
事実を元にしているので、地味(ヘンリー・フォンダが大活躍して自分で犯人を捕まえたりしない)ですが、リアルさに加え、抑制された演出、時折でてくるヒッチコックらしいテクニカルな映像など、全てが過剰ではなく、見事な調和を保ち、映画としては、破綻の無い硬質な傑作となっています。
ヒッチコック監督の、一つの区切りとなるような興味深い映画です。是非観ましょう。


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