FC2ブログ
2011年10月26日 (水) | Edit |
1941年制作アメリカ映画モノクロ作品。
私立探偵サム・スペードが鷹の彫像を巡り複雑に絡み合った謎を解いていくダシール・ハメット原作小説の映画化。

サンフランシスコ。金門橋が間近に見える場所で探偵事務所を経営している、敏腕探偵サム・スペードと相棒のアーチャー・マイルズ。
ある日、身なりのいい美しい女から、駆け落ちした妹を、サーズビーという男から取り戻して欲しいとの依頼が。着手金も良かったため、スペードとアーチャーは早速調査にとりかかります。サムの相棒のアーチャーは、サーズビーの尾行と監視を始めます。
その夜、自宅で眠っていたサムのもとに警察から電話が。その内容は、至近距離からアーチャーが射殺されたというものでした。そして別の場所でサーズビーも何者かにより射殺されていました
相棒のアーチャーのワイフと不倫関係にあったサムは、警察に第一容疑者として疑われてしまいます。
そんなさなか、カイロという怪しげな男から、黒い鷹の彫像を渡してくれたら5000ドル払うという依頼が舞い込みます。カイロによると黒い鷹の彫像は、サーズビーが持っていたというのです。カイロは、サムが黒い鷹の彫像の隠し場所を知っていると勘違いしている様子です
カイロという男、最初の依頼人の女、カイロの背後にいる大物、そして、警察から容疑者として疑われているサム。
サムは、謎を解き明かし、自らの容疑を晴らし、相棒の仇をとることができるのでしょうか……

予告編動画リンク

制作、ハル・B・ウォリス、ヘンリー・ブランク
監督、脚本、ジョン・ヒューストン
原作、ダシール・ハメット
撮影、アーサー・エディソン
音楽、アドルフ・ドイッチ
出演、ハンフリー・ボガート、メアリー・アスター、グラディス・ジョージ、ピーター・ローレ、バートン・マクレーン、リー・パトリック、シドニー・グリーン・ストリート

ジョン・ヒューストンは、この作品で監督としてのキャリアをスタートさせました。脚本や役者もこなす多才な名監督です。ハンフリー・ボガートとタッグを組んだ作品に、「黄金」「キー・ラーゴ」「アフリカの女王」などがあります。
アーサー・エディソンは、「西部戦線異状なし」「カサブランカ」などの撮影も担当しています。
ハンフリー・ボガートは、映画会社ワーナーから生まれた大スターで、そのキャリアの初期は脇役のギャングを演じることが多く、長い下積みを経験しました。1941年「ハイ・シエラ」のヒットからスターの足がかりを得、同年の「マルタの鷹」の大ヒットでその地位は確固としたものになりました。翌年の「カサブランカ」では、アカデミー主演男優賞にノミネートされ、演技派の大スターとして認知されるところとなりました。ちなみに、ボガートの独特の喋り口調は、第一次世界大戦に従軍したときの怪我の後遺症で顔の一部が麻痺した為だといわれています。

フィルム・ノワールの元祖と名高い傑作で、この作品から、フィルム・ノワールと後に呼ばれるようになるジャンルが形作られたといっても過言ではありません。
ジョン・ヒューストンのスピーディーで歯切れのよいシャープな演出は、観る者を飽きさせることなく、一気にラストまで引っ張っていってくれます。
タフガイで己の掟に従って生きる主人公。己の掟に従って生きるためには当然その代償を支払わなければならない。マルタの鷹と呼ばれる彫像を巡る、欲望渦巻くダークな人間ドラマは、苦い味わいを残しながら、まさにハードボイルドなラストを迎えます。
アメリカ映画を理解するためには、避けては通れない血と暴力と欲望のドラマ。その雛形がこの映画にはあります。


スポンサーサイト



テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2011年07月30日 (土) | Edit |
1942年アメリカ映画モノクロ。
第二次世界大戦中のポーランドで劇団員達が芝居でナチスを騙す傑作ブラックコメディ。

1939年ポーランド。
シェークスピアを上演する劇団。主演男優ジョセフとその妻で看板女優のマリアは、ワルシャワでは少しは名の知れられた有名人。
ある日、マリアのもとに花束と手紙が。熱烈なファンのものらしく、1度お会いしたいとの事。
マリアは、なんとなくその送り相手が分かっており、旦那のいない隙に会う事に。
送り主はソビンスキーという名の空軍パイロットで、若く情熱的な色男
マリアは、旦那がハムレットの劇中での「to be or not to be」というセリフをきっかけ(その後が長いから)に、ソビンスキーを客席から立たせ、自分の楽屋に招き入れます。
なんどか繰り返される途中退席に、旦那のジョセフは、浮気を疑うのではなく、自らの役者人生で一番の屈辱だと言って、酷く落ち込んでしまいます。
そうこうしているうちに、ポーランドのワルシャワにドイツ軍が侵攻してきます。
パイロットのソビンスキーは、軍隊へ帰っていき、レジスタンス運動に身を投じますが、シルスキー教授というスパイが、ポーランドでの抵抗運動に参加しているレジスタンス達の名簿を持って、フィンランドからワルシャワのゲシュタポ支部へ向かいます。
それを阻止すべく選ばれたのが、ソビンスキーです。ソビンスキーは決死のパラシュート降下でワルシャワに潜入。劇団のマリアを頼り潜伏します。マリアは、ポーランドの一大事だということで、みんなを説得し、劇団員総出でドイツのゲシュタポを騙しシルスキー教授の密告を阻止しようとします……

予告編動画リンク

製作、アレクサンダー・コルダ
製作、監督、エルンスト・ルビッチ
脚本、エドウィン・ジャスタス・メイヤー
撮影、ルドルフ・マテ
音楽、ウェルナー・ハイマン
出演、キャロル・ロンバードジャック・ベニーロバート・スタック、フェリックス・ブレサート、ライオネル・アトウェル、スタンリー・リッジス、シグ・ルーマン、トム・ドゥーガン

エルンスト・ルビッチ監督は、ソフィスティケートされた艶笑喜劇を得意とした映画監督です。後のハリウッド映画人に与えた影響は計り知れません。ドイツからハリウッドへと、優れた映画表現を持ち込み、定着させた人物です。
ルドルフ・マテは、白黒映画撮影監督の巨匠で、ホラーの傑作「吸血鬼」やサスペンスの傑作「海外特派員」などの撮影を手がけています。
クラーク・ゲーブルの妻であったキャロル・ロンバードは、この映画の公開前に飛行機事故で死んでしまいました。33歳という若さでした。

第二次世界大戦中に作られた映画で、ナチスドイツに対してのアイロニカルな笑いが全編を包んでいます。占領されたポーランド下で劇団員が演技でナチスを騙すというある種痛快なコメディとなっています。
すでに第二次大戦に参戦中であるにも関わらず、戦争を題材に、このようなコメディを作ることができる、アメリカの文化的な許容度は素晴らしいと思います。
監督は迫害を受けたユダヤ系ですが、あくまでも節度を失わない上品さで風刺劇を作っています。サスペンスあり笑いありの傑作です。
しかし・・相変わらずユニバの字幕は●●(自主規制)レベルですね。他にも発売してる会社があるので、そこで買ってもいいかもしれません(高いですが・・)。


テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2010年06月13日 (日) | Edit |
1949年アメリカ映画。
理想を追い求め郡の会計係から政治家にまで成り上がった男の人生の変転を描く社会派ドラマ。

アメリカの片田舎。市の行政官の不正と腐敗を訴え続ける男。その男の名はウィリー・スターク無学粗野ながらも正義感が強く酒も飲めない正直者。ウィリーは、不正と腐敗をただそうと立ち上がり、市の会計係に立候補します
一方、その様子を取材していた新聞記者のジャック・バートンは、ウィリーの人柄と政治姿勢に共感。新聞紙上にウィリーの擁護記事を書きます
しかし、ウィリーは、土地の権力者と既得権者の嫌がらせと妨害にあい、さらには民衆の支持も集められず落選
失意のウィリーですが、ここから彼は、ガッツを発揮します。教師だった奥さんの助けを借りながら猛勉強を重ね、見事カレッジを卒業し、法学士になります。
法学士になったスタークは、貧しいものや農民達の為に弁護活動をし、弱者の味方として有名になります
そんな中、古くなった小学校で、階段が崩れるいたましい死亡事故が発生。ウィリーは、すかさず行政と政治の責任を追及。一躍、政治改革のシンボル的スターに
そして、ウィリーは、周りの有力者達に乞われて、州知事選挙に出馬。しかし、それは対立候補の罠でした。改革派の他候補と票が割れるのを計算してウィリーを利用したのです。一方、今回も新聞記者のジャックは、ウィリーの擁護記事を書こうとしますが、新聞社は記事を採用しようとはしません。新聞社に圧力がかかっていたのです。絶望したジャックは、新聞社を辞め、ウィリーのもとで選挙の手伝いをします。
罠とも知らず懸命に選挙活動を行うウィリー。しかし、改革派の他候補と票を喰い合い落選。守旧勢力の目論見どおりになってしまいます。
4年後
色んな職を転々としていた元新聞記者のジャック。思い立ってウィリーを訪ねてみると、彼は知事選挙の準備中でした。ウィリーは、4年前とは見違えるほどにカリスマ性を増し演説も態度も堂々とした素晴らしいものになっていました。ジャックはウィリーに側近として雇われ、彼の右腕となります。ウィリーの政治的な手腕も老獪さを増し、あらゆる勢力と取引したり、かつての敵も部下にするなどして基盤を固めていました。そして、選挙の結果、民衆の熱狂的な支持の元、見事に大差で当選します
いよいよ州知事になったウィリー・スターク。彼は強引ながらも公約を次々と成し遂げていき州は発展。ウィリーは、ますます民衆に支持され、名声も高まります。
しかし、独裁的目的の為には手段を選ばないウィリーに、もはや昔の面影は残っていませんでした……

予告編動画リンク

製作、監督、脚本、ロバート・ロッセン
原作、ロバート・ベン・ウォーレン
撮影、バーネット・ガフィ
音楽、モリス・ストロフ
出演、ブロデリック・クロフォードジョン・アイアランドジョン・デレクマーセデス・マッケンブリッジ、ジョアン・ドルー

ロバート・ロッセンは、硬質な映画作りをする監督で、赤狩りのブラックリストの1人でもありました。その為、不遇の時が長く、寡作です。マッカーシズムのハリウッドへの波及がなければ、もっと映画を撮れてたであろうと思うと残念でなりません。
撮影のバーネット・ガフィは、「地上(ここ)より永遠に」「俺たちに明日はない」で、白黒でもカラーでも、アカデミー撮影賞を受賞しています。
モリス・ストロフは、優れたミュージカル音楽家で、そのキャリアにおいて3度オスカーを手にしています。
ブロデリック・クロフォードは、この映画での、ウィリー・スターク役でアカデミー主演男優賞を受賞しています。貧乏で正直な理想家から、独裁的な手法で州を支配する政治家を見事に演じています。
ジョン・アイアランドは、気付くと色々な映画に出演している(個人的な感想ですが)俳優です。
ジョン・デレクは、ウルスラ・アンドレスボー・デレクとかつて結婚していた、非常にうらやましい(個人的な感想ですが)俳優です。
マーセデス・マッケンブリッジは、この作品で、アカデミー助演女優賞に輝きました。オカルト映画の傑作「エクソシスト」での悪魔の声役でも有名で、タバコや生卵などで声を潰し役に挑んだにも関わらず、映画のクレジットにも載らなかったという悲しい話があります。ちなみに現在は、きちんとクレジットされています。

この映画は、社会的メッセージの濃い作品で、民主主義とは何か、権力とは政治とは何のためにあるのかを考えさせてくれます。劇中で、ウィリー・スタークが言い放つ、「人は罪と腐敗に生まれる」という言葉は、権力にとりつかれた人間だけでなく、一般の私たちにも当てはまる鋭い名言だと思います。
ウィリー・スタークは、民衆に対し公約した事を、手段を選ばず独裁的なやり方で次々と成し遂げていきますが理想主義的なクリーンな政治とはかけ離れてしまいます。しかし、今の日本の政治に当てはめてみるとクリーンでもなく公約も果たせず、ただ右往左往している政治家の堕落ぶりをみるにつけ、こんなんじゃ、よっぽどウィリー・スタークの方が優れているしマシだなと思ってしまいます。なので、今の日本の政治状況では、この映画は社会派映画として機能しないという、極めて皮肉な結果となってしまいます。
ウィリー・スタークを待望してしまう社会。そう思わざるを得ない絶望的閉塞感。今の日本の末期的症状に、おもわずため息をもらしてしまいました。


テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2009年11月27日 (金) | Edit |
1944年アメリカ映画モノクロ作品。
漂流する救命艇で敵国のドイツ兵を助けた事で起こる乗客達の混乱を描いた人間ドラマ。

第2次世界大戦時の大西洋。アメリカ行きの客船が、ドイツのUボートに撃沈されてしまいます。大破した船内から、運よく救命ボートに乗り込むことが出来たのは、8人だけでした。
女性ジャーナリストや看護婦や富豪や船の乗組員など、それぞれ人種や職業や性別が違う8人を乗せ、海を漂う救命ボート。そこに新たに、漂流してきた男は、なんと、敵国ドイツの兵士でした。
乗せるべきか、乗せないで放り出すべきか、乗客たちの意見は割れますが、話し合いの結果、その男を人道的見地から助ける事にするのですが……

参考動画リンク

製作、ケネス・マクゴーワン
監督、アルフレッド・ヒッチコック
原案、ジョン・スタインベック
脚本、ジョー・スワーリング
撮影、グレン・マックウィリアムズ
音楽、エミル・ニューマン
出演、タルラー・バンクヘッド、ウィリアム・ベンディックス、ウォルター・スレザック、メアリー・アンダーソン、ジョン・ボディアック、ヘンリー・ハル、ヒューム・クローニン

この作品と同時期のヒッチコック監督の代表的な作品に、「疑惑の影」「白い恐怖」「汚名」などがあります。
ジョン・スタインベックは、ノーベル文学賞を受賞したアメリカの小説家で、代表作に、『二十日鼠と人間』『怒りの葡萄』『エデンの東』などがあります。この作品の原案を、一人称の小説形式で書きましたが、映画化にあたっては大幅に改編されています。
ヒューム・クローニンは、ヒッチコック監督と友人関係で、「ロープ」の脚色なども手がけています。

戦時中に作られた事もあって、なかなか検閲が厳しかったようですが、製作者側の理解と信頼もあり(ダリル・F・ザナックが従軍して不在だったので)、比較的自由に撮影できたようです。もちろん、検閲側の意向も反映してます。なぜならば、そうしないと公開できないからです。しかし、そこのところは、うまく当局と取引や駆け引きをし、作品のクオリティを落とさずに、作品を仕上げたようです。
ヒッチコック監督実験的野心的な映画作りをしていたころの一本で、1948年の実験作「ロープ」につながっていく前段階的作品です。救命ボート上でストーリーの全てが展開され、劇中音楽が使われていないなど、限定された場所で、しかも音楽なしという、映画的にとても難しい事に挑戦しています。映像テクニックと編集を最重要視した、ヒッチコックらしい映画ともいえるかもしれません。
近年、ますます評価の高まっている作品で、もちろん傑作であることは間違いありません。
ちなみに、ヒッチコックのカメオ出演シーンは、新聞の裏面広告の痩せ薬の、使用前使用後の写真です。もちろん、ヒッチコック監督のジョークなので、実在の薬ではありませんが、それを本気にした観客の、痩せ薬への問い合わせが殺到したという逸話があります。


テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2009年05月20日 (水) | Edit |
1948年アメリカ作品モノクロ。
牧童達の困難なキャトル・ドライブを描いた西部劇の名作。

1851年
腕利きガンマンで有能なカウボーイのダンソン相棒の老人グルートは、牧場にするための新たな土地を求め、テキサスへ。その道行きの途中、インディアンに襲撃され焼け出された少年マシューを発見し保護。少年を加えた3人で新天地への旅を続けます。そして、ダンソン達は、リオ・グランデにおあつらえ向きの土地を見つけ、小さな牧場を作ります
それから14年後。
南北戦争の敗戦で疲弊したテキサスは、牛の価格が暴落。せっかくダンソン達が心血を注いで、テキサス有数の大きさにした牧場も破産寸前に。そこでダンソンは、一万頭の牛を、1600キロ離れたミズーリまで運ぶ事を決意。立派な頼れる若者に成長したマシューと雇っているカウボーイ達と共に命がけのキャトルドライブ(牛追いの旅)へ
旅は過酷を極め豪雨食糧不足スタンピード(牛の暴走)などで、ダンソン一行の疲労と苛立ちはピークに。ダンソンは執念で旅を強行しようとしますが、頑な厳格なダンソンの、あまりの専制ぶりに、従順だったマシューやカウボーイ達も不満を募らせていき……

予告編動画リンク

製作総指揮、チャールズ・K・フェルドマン
製作、監督、ハワード・ホークス
脚本、ボーデン・チェイス、チャールズ・シュニー
撮影、ラッセル・ハーラン
音楽、ディミトリ・ティオムキン
出演、ジョン・ウェインウォルター・ブレナンモンゴメリー・クリフト、ジョアン・ドルー、ハリー・ケリー、コリーン・グレイ、ジョン・アイアランド

西部劇やコメディ、フィルム・ノワールなど、多岐にわたるジャンルで傑作を残しているハワード・ホークス監督の他の作品に、「暗黒街の顔役」「赤ちゃん教育」「ヒズ・ガール・フライデー」「脱出」「三つ数えろ」「紳士は金髪がお好き」「リオ・ブラボー」などがあります。
西部劇の大スター、ジョン・ウェインの他の出演作に、「駅馬車」「スポイラース」「三人の名付け親」「黄色いリボン」「リオ・グランデの砦」「捜索者」「リオ・ブラボー」「騎兵隊」「勇気ある追跡」などがあります。
名脇役、ウォルター・ブレナンの他の出演作に、「西部の男」「荒野の決闘」「リオ・ブラボー」などがあります。
モンゴメリー・クリフトの他の出演作に、「女相続人」「陽のあたる場所」「私は告白する」「終着駅」「地上(ここ)より永遠に」などがあります。2枚目でありながら演技力も兼ね備えている役者です。

僕は当初、ジョン・ウェインをあまり好きではなかったのですが、その出演作を観るようになって考えが変わっていきました。やはり彼には威厳があるし、アメリカンスピリッツを体現するには、うってつけの役者だと思います。強く無骨で信念を貫く誇り高い姿は、時代遅れかもしれませんが、男のあるべき姿を表してるのではないでしょうか。
この作品は、西部劇の神様ジョン・フォード監督を意識して作られており、ハワード・ホークスの気概が見えるような本格的な西部劇になっています。師弟親子支配と被支配男女厳格と寛容など、様々な関係を描き、人間性について考えさせられる深みのある作品です。
補足説明ですが、なぜキャトルドライブをするのかというと、当時は鉄道がテキサスまで開通しておらず、鉄道が開通している中西部まで、牛を運ばなければいけなかったからです。そして運ばれた牛は、食肉として、食糧不足だったアメリカ東部に流通していったのです。


テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2009年01月12日 (月) | Edit |
1949年アメリカ作品モノクロ。
異常な心理を持つ凶悪なギャングを描いたフィルムノワール屈指の傑作。

ギャングのコーディーは、仲間と共に列車強盗を働き、4人を殺害し、30万ドルの奪取に成功します。コーディーは、他人を信用せず残忍で非情な性格で、強力なリーダーシップと恐怖で仲間をまとめあげています。そんなコーディーですが、唯一母親にだけは頭があがりません。母親の言う事は何でも聞き入れ、何でも言う事を聞きます。母親を崇拝しきっており自身の心のよりどころとなっているのです
列車強盗での警察の捜査が身近に迫ってきたのを感じたコーディーは、同時に起こった別件の窃盗事件を自供することで、列車強盗時のアリバイを立証し、捜査を逃れようとします
しかし警察は、微罪で服役しているコーディーのもとに、潜入捜査官のファロンを派遣し、極秘のおとり捜査を開始します。潜入捜査官ファロンは、最初はコーディーらから信用されていませんでしたが、部下から裏切られたコーディーが、刑務所の作業場で暗殺されかけたのを救った事で、信頼を獲得。そして、コーディーに気に入られた潜入捜査官ファロンは、コーディーの兄弟分になるほどに信用されます・・・

予告編動画リンク

製作、ルイス・F・エデルマン
監督、ラオール・ウォルシュ
原案、ヴァージニア・ケロッグ
脚本、アイヴァン・ゴフ、ベン・ロバーツ
撮影、シドニー・ヒコックス
音楽、マックス・スタイナー
出演、ジェームズ・キャグニーバージニア・メイヨ、スティーブ・コクラン、エドモンド・オブライエン、フレッド・クラーク

監督のラオール・ウォルシュは、G・W・グリフィス監督のもとで下積みをし、映画作りを学んだそうです。不慮の車の事故で右目を失った後も、変わらず監督を続けていました。他の監督作に「彼奴は顔役だ」「ハイ・シエラ」「死の谷」などがあります。
音楽のマックス・スタイナーは、アカデミー音楽賞を3回受賞しています。受賞作は「男の敵」「情熱の航路」「君去りし後」です。
ジェームズ・キャグニーの他の主演作に「民衆の敵」「Gメン」「彼奴は顔役だ」などがあります。

「やったぜ、ママ!世界一だ!」というセリフと壮烈なラストが深く印象に残る映画で、主人公コーディーの特異なキャラクター(極度のマザコンで凶暴なサイコパス)非情な暴力描写ラオール・ウォルシュのテンポのある演出で、ギャング映画の金字塔となっています。リアリズムの中に表現主義的描写が垣間見える興味深い映画でもあります。
ギャング映画が好きな人なら、真っ先に観ておかないといけないぐらい、素晴らしい作品です。


テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2008年09月17日 (水) | Edit |
1946年アメリカ映画。
TVシリーズにもなっっているオーウェン・ウィスターの小説「ヴァージニアン」を映画化した西部劇です。

1885年。うら若きモリーは、アメリカ東部の上流階級が住む、お行儀のいい退屈な町にあきあき。刺激を求め、西部の村に教師として赴任する事に。しかしモリーは、始めて見る、広大な西部のワイルドな世界に戸惑いを隠せません。
一方、牧童頭のヴァージニアンは、今まで見たことの無い東部の洗練されたモリーの姿に一目惚れ。しかし、決してお行儀のいいとは言えないヴァージニアンは、モリーに誤解されてばかり。明るく面白いヴァージニアンの親友スティーブの方が先にモリーと仲良くなります。
そんなある日、村で牛泥棒が出没。牛泥棒による被害は甚大で、村を引っ越す人間まで出る始末。それを重く見た村の牧場主や判事は、牛泥棒を捕まえる為、牧童頭のヴァージニアンをリーダーとした自警団を結成、警戒にあたらせます。ヴァージニアンには、犯人が誰か見当がついていました。トランパスという男の牧場の牛が不自然なまでに増えていたからです。
ある日、警戒中に発生した牛泥棒を、ヴァージニアン達が追跡。ついに牛泥棒達を捕まえますが、なんとその中に親友のスティーブが含まれていました。スティーブは、トランパスにお金が欲しくないかとそそのかされ、牛泥棒の一味に加わっていたのでした。トランパスは、すんでのところで捕まらずに済み、逃げおおせていました。捕まったスティーブは、西部の男の誇りとして、牛泥棒一味の事を一切喋らず、全ての罪を自分がかぶり、村の掟通り、吊るし首になったのでした・・・。

製作、ポール・ジョーンズ
監督、スチュアート・ギルモア
原作、オーウェン・ウィスター
脚色、フランセス・グッドリッチ、アルバート・ハケット
撮影、ハリー・ハレンバーガー
音楽、ダニエル・アンフィシアトロフ
出演、ジョエル・マクリーブライアン・ドンレヴィ、ソニー・タフツ、バーバラ・ブリトン、フェイ・ベインター、ヘンリー・オニール、トム・タリー

ジョエル・マクリー「西部の王者」「死の谷」など西部劇で活躍した役者です。
ブライアン・ドンレヴィといえばハマー・プロ製作「原子人間」「宇宙からの侵略生物」のクォーターマス博士シリーズでクォーターマス博士を演じた役者として有名です。

3度目の映画化とDVDの裏表紙には書いてありますが、4度目の映画化だと思われます。’14年’23年’29年に映画化されているからです。
まぁ、そんな細かい事は置いといて、この作品ですが、西部劇らしい西部劇です。「日没前に町を出ろ」というお決まりの台詞だとか、2回目まではいいが3回目はダメだとか、法よりも掟が優先だとか、そういった西部劇のお約束みたいなものが観れる(大真面目に)からです。なので、西部劇的な雰囲気は味わえると思います。
難を言うと、エピソードやキャラクターの掘り込み方が足りずに、ダイジェスト版みたいになってしまっていることです。短い上映時間に詰め込みすぎたのでしょう。

テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画