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2012年03月20日 (火) | Edit |
1970年スペイン/イタリア/フランス映画。
母を失い身寄りのなくなった美しい娘と娘を預かった父親替わりの初老の男が織り成す愛憎劇。

母親が亡くなり、身寄りのなくなった美しき娘トリスターナ
トリスターナは、没落貴族のロペに、養女として引き取られます。ロペは誇り高く善良な人間ですが、恋愛に対してはアナーキーな人間です。ロペは父親として充分に役割を果たしますが、やがてトリスターナを一人の女性として激しく愛し始めます。無垢だったトリスターナは、逡巡しながらも、その思いに応えるのでした。
ロペはトリスターナを支配しようとし、トリスターナに無垢であることを強要し続けます。しかし、トリスターナは、自由のない生活にうんざりし始め、やがて偶然知り合った、絵描きの青年オラシオと密会を重ねるようになります
お互いに激しく愛し合うトリスターナとオラシオ。ついにトリスターナは、ロペの元から去ることを決意。オラシオにその事を打ち明け、2人は駆け落ちします
数年後、トリスターナは、オラシオと共に、ロペのもとに帰ってきます。それはトリスターナの意思でした。トリスターナの足には腫瘍が出来、片足切断手術をしなければ、命を失うほどの重病でした……

予告編動画リンク

製作、ロバート・ドーフマン
製作、監督、脚本、ルイス・ブニュエル
原作、ベニト=ペレス・ガルドス
脚本、フリオ・アレハンドロ
撮影、ホセ・F ・アグエイヨ
出演、フェルナンド・レイカトリーヌ・ドヌーヴフランコ・ネロ

ルイス・ブニュエルは、スペイン出身の映画監督で、ダリと共作したシュールレアリズムの傑作「アンダルシアの犬」「黄金時代」があります。
フェルナンド・レイは、スペインの役者でインテリとして知られています。フリードキン監督の「フレンチ・コネクション」での麻薬密売人のボス、シャルニエ役が有名です。
カトリーヌ・ドヌーヴフランスの大女優です。その美貌は広く世界に知られています。他のブニュエルとの作品に、「昼顔」があります。
フランコ・ネロは、イタリアの二枚目俳優で、なんといっても「続・荒野の用心棒」の主人公ジャンゴ役でお馴染みです。

ここまで恋愛物と芸術物は忌避してきたこのブログですが、ここにきて、とうとう踏みこんでしまいました。それもシュールで難解だと言われている芸術家ルイス・ブニュエル作品で。
この作品は、やはり難解です。ストーリーは、分かりやすいのですが、男女の感情の機微が本当に難解です。どう解釈して良いか分からないというのが正直なところではあります。
一応、感想ブログなので、分からないじゃ済まされないので、自分流の解釈をしてみます。
舞台はスペイン。没落貴族のロペは、警官と権力が嫌いな男として描かれています。貧しいものに対して施しをする慈善家でもあります。そして彼はほぼ無神論者で、特に恋愛に関しては、極端に自由です。善良さと偏屈さと柔軟さを併せ持つ複雑な変わり者といっていいでしょう。
一方トリスターナは、無垢で純粋な状態で、ロペにひきとられてきます。ロペに溺愛されたトリスターナは、次第に彼に染まっていきますが、それと同時に自我が芽生えていきます。ロペが生首の鐘になるトリスターナの悪夢のシーンがあるのですが、その夢は未来の予見と共に、トリスターナの自我の芽生えを示唆してると思われます。
自我が芽生えたトリスターナは、自分に正直に恋愛を貫き、駆け落ちをします。しかし、それも長続きはしません。片足切断しなければ死んでしまうほどの腫瘍が足にできてしまったからです。そこでロペ(庇護者)のところに帰ることになるのですが、ロペは老いてしまっており、人格も丸くなって、人が変わったように穏やかな人間になっていたので、父親と子供の頃に逆戻りしてしまったかのようでトリスターナはイラつきます
トリスターナが、足を切断された後、最初に弾いているのはショパンの練習曲で、『革命のエチュード』と呼ばれるものです。その曲によって、片足を失うことになったトリスターナの現状への、怒りと絶望がそこで表現されています。
とりあえず思ったより長くなりましたので、感想はここまでとします。
この救いのない寒々しい結末が待ち構える、愛と憎しみの物語を堪能して下さい。


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テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2011年11月19日 (土) | Edit |
1974年アメリカ作品。
34年型フォード・クーペをホット・ロッドに改造した車で片田舎にやってきた男がカーアクションを繰り広げ目的を果たすまでの人間ドラマ。

1958年クラークスバーグ。
スピード違反の取り締まりが厳しい片田舎の寂れた町
ここでは車の断崖への転落事故が相次ぎ7人が命を落としています。いずれも町の保安官ロイが取り締まった車です。保安官のロイはパトカーに、レース用のエンジンを積んでいる改造パトカーに乗っています。
町の判事には正当な追跡であったという報告がなされていますが、真相は分かりません。
ある日、クラークスバーグに一人の若者マイケル・マッコードが現れます。マイケルは34年フォード・クーペの改造車(ホットロッド)に乗っています。目立つ車なので、町の若者には大人気です。
この見知らぬ余所者マイケルが、何を目的にクラークスバーグにやって来たのか誰もわかりません。
ただ一人、保安官のロイだけは薄々感づいていました。
マイケルと保安官ロイ。2人にはただならぬ因縁と事情があるようでした……

カリフォルニア・キッド参考映像

製作総指揮、ポール・メイソン
製作、ハウイ・ホルウィッツ
監督、リチャード・C・ヘフロン
脚本、リチャード・コンプトン
音楽、ルチ・デ・ジーザス、ハル・ムーニー
撮影、テリー・K・ミード
出演、マーティン・シーンヴィク・モロー、ミシェル・フィリップス、スチュアート・マーゴリン、ニック・ノルティ、ジャニット・ボールドウィン、ゲイリー・モーガン、ジョー・エステヴェス、ドナルド・マントゥース、フレデリック・ダウンズ、マイケル・リチャードソン

リチャード・C・ヘフロンは、主にTVムービーで活躍した監督です。この他にも多くのTVムービーの演出をしています。
マーティン・シーンは、ゴシップを振りまき物議をかもすこと度々のチャーリー・シーンのお父さんです。
ヴィク・モローは、撮影中のヘリコプター事故で、子供を助けようとして自らも巻き込まれて死んでしまいました。しかし子供を命がけで助けようとしたその勇気と人柄は今なお賞賛され語り継がれています。
この映画には、若きニック・ノルティが自動車工役で出演しています。
マーティン・シーンの弟ジョー・エステヴェスが、実際と同じように弟役で出演しています。

この映画はTVムービーとして作られた作品です。TVで放映された時の日本でのタイトルは『連続殺人警官』です。連続殺人警官という題は、ストーリーからすると少しおどろおどろしいです。内容は、ほろ苦い人間ドラマなので、原題の「カリフォルニア・キッド」の方がベターだと思います。
マイケルの乗ったホット・ロッド仕様のフォード・クーペがかっこよく、今の車の主張のなさと魅力のなさ(特にエコカーと呼ばれる車)に、絶望感をいだいてしまいます。
車を見て若者が寄ってくるような車、現在の車にはそれがないですね。日本もスペシャルな改造を認めてもいいのではないかと思います。車からスピードとデザインを取るのは、文化の破壊行為であります。男の車を勇気を持って販売してくれるメーカーはないものでしょうか。


テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2011年09月28日 (水) | Edit |
1973年制作イタリア作品。
伝説的ガンマンと若きガンマンの男と男のやりとりを鮮やかに描いたコメディタッチのマカロニ・ウエスタン。

時は1899年。
かつて西部に名を馳せたガンマンジャック・ボーレガードは、老眼もすすみ、ガンマン稼業からの引退を決意。ニューオリンズからヨーロッパ行の船に乗ろうと旅客船を予約します。しかし突如そこに現れた謎の若者ノーボディ。ジャックに、このまま引退してしまう前に、150人もの殺し屋集団であるワイルド・バンチを倒して欲しいといいます。そしてそうすることで、ジャックが歴史に名を残すことになる事を強く訴えます。しかしジャックは当然、ノーボディ(誰でもない)と名乗る若者の提案を無視。
そして、かつての仲間でジャックを裏切った金鉱主のレッドを探しだし、殺さないことを条件に、渡航費用と引退資金をゲットし、いざ引退しようとします。
しかしノーボディは諦めず、ジャックに最高のお膳立てお用意します。機関車ごと盗んだノーボディが、その機関車を狙う150人のワイルド・バンチ団を誘い出し、ジャックのもとへ。ここへ来て、ジャックは、西部の男としての命をかけた闘いを決意。ワイルド・バンチ150騎対ジャック1人の壮絶な闘いの火蓋は切って落とされます……

参考動画リンク

制作、クラウディオ・マンチーニ
監督、トニーノ・ヴァレリィ
原案、セルジオ・レオーネ、フルヴィオ・モルセッラ
原案、脚本、エルネスト・ガスタルディ
撮影、ジュゼッペ・ルッツォリーニアルマンド・ナンヌッツィ
音楽、エンニオ・モリコーネ
出演、ヘンリー・フォンダテレンス・ヒル、レオ・ゴードン、ジェフリー・ルイスR・G・アームストロング、ジャン・マルタン、ピエロ・ルッリ

トニーノ・ヴァレリィ監督は、「夕陽のガンマン」の助監督をつとめ、後に「さすらいの一匹狼」「怒りの荒野」「怒りの用心棒」などの作品を撮っています。
セルジオ・レオーネは、言わずと知れたマカロニウエスタンの大御所です。ウエスタンでは、「荒野のガンマン」「夕陽のガンマン」「続・夕陽のガンマン/地獄の決斗」「ウエスタン」があります。
名優ヘンリー・フォンダが、伝説の老ガンマンを演じ、渋味のある演技を披露しており、その存在だけで作品に重みと深みを与えています。
テレンス・ヒルは、「風来坊/花と夕日とライフルと・・」でのトリニティ役が大当たりし、この作品に抜擢されました。二枚目だけれどコミカルな演技もできる役者です。
クリント・イーストウッドの作品で馴染み深いジェフリー・ルイスサム・ペキンパー監督のお気に入りの役者R・G・アームストロングも出演しています。

セルジオ・レオーネが一部を監督したこの作品は、トニーノ・ヴァレリィ監督からすると、甚だ不満があったようです。オープニング、長すぎるトイレのシーン、機関車強盗のシーンなどや、他にも勝手に撮ってインサートされたシーンがあり、ヴァレリィ監督はレオーネが自分を監督として認めてないかのように感じていたようです。制作にも紆余曲折があり、最初にヴァレリィが監督にオファーされたとき、当初は断りをいれたそうですが、その後何十人かの監督にオファーされた後、結局、ヴァレリィ監督が引き受けることになったそうです。テレンス・ヒルの主演した「風来坊/花と夕日とライフルと・・」「風来坊Ⅱ/ザ・アウトロー」商業的成功が、レオーネのプライド(金欲)をいたく刺激したようで、それ以上のものを作ってやる(稼いでやる)という動機のもと、製作されたものであると、ヴァレリィ監督は語っています。
なお、ラストの手紙のシーンは、日本映画の「ビルマの竪琴」からヒントを得たテレンス・ヒルが提案し採用されたそうです。
この作品はコメディタッチのマカロニウエスタンなので、日本語吹き替えで観たほうが面白いと思います。イタリアのゆる~い空気感が、最近の日本のせせこましさを忘れさせてくれますよ。


テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2011年05月28日 (土) | Edit |
1975年アメリカ作品。
権謀術数渦巻く1904年のモロッコのタンジールを舞台にした歴史大作。

1904年モロッコ。植民地主義の吹き荒れる時代。北アフリカの植民地化による安定化を目指している、英、仏、独、露の欧米列強
彼らはモロッコのスルタン(君主)に対し圧力をかけ、事実上の傀儡政権にしようとしていました。
そんな政治のパワーバランス的な駆け引きと各国の思惑が入り乱れる中、事件が起こります。
ベルベル人でリフ族の首長ライズリーが砂漠からタンジールの街に侵入。米国公使の未亡人ペデカリス夫人と2人の姉弟を誘拐したのです。
そして、金貨とライフル、国を牛耳る知事の首を、スルタンに要求します。
アメリカ政府は、モロッコのスルタンに対し、軍事的な圧力をかけますが、複雑な政治情勢のためうまくいきません。
アメリカ国民を守る為、アメリカのルーズベルト大統領は、軍事介入を決断。一方、ライズリーは、自国の誇り自分の誇りにかけて、仲間を率い、抵抗します……

予告編動画リンク

製作、ハーブ・ジャッフェ
監督、脚本、ジョン・ミリアス
撮影、ビリー・ウィリアムズ
音楽、ジェリー・ゴールドスミス
出演、ショーン・コネリーキャンディス・バーゲンブライアン・キースジェフリー・ルイス、ヴラデク・シェイバル、スティーブ・カナリー、ジョン・ヒューストン

ジョン・ミリアスは、脚本家から監督になった人物で、国粋主義者として知られています。
ビリー・ウィリアムズは、「ガンジー」で、アカデミー撮影賞を受賞しています。
ジェリー・ゴールドスミスは、アメリカ映画界の名作曲家で、「チャイナ・タウン」「オーメン」「エイリアン」「グレムリン」など、多種多彩な映画音楽を手がけています。職人的な姿勢が好感のもてる音楽家です。
ショーン・コネリーは、この映画と同年に作られたジョン・ヒューストン監督作の映画「王になろうとした男」にも主演しています。「王になろうとした男」は、ショーン・コネリーが未開人を率いて王になる話でした。
ジョン・ヒューストン監督は、この映画で、当時のアメリカの国務長官ジョン・ヘイを演じています。

敵であっても、誇りと勇気を持って勇敢に闘う事ができる人間は、尊敬に値するのだ、というメッセージにつきる映画です。
生き方や文化が違ったとしても、その人間に闘争心やガッツや信念があるならば、互いに尊敬できるし通じ合える。それは、たとえお互いに殺しあうことになろうとも、変わらない。
自由と誇り高き勇敢さ、これこそ風とライオンなのだ。そして、それは戦士の矜持でもある。
セオドア・ルーズベルトの名言に「勝利も敗北も知らずに灰色の薄暗がりで生きて、楽しむことも苦しむこともしない哀れな者と肩を並べるより、たとえ失敗しようとも思い切って偉大なことに挑んだり、栄光ある勝利を勝ち取ろうとする者の方が、ずっと素晴らしい。」というものがあります。
この作品は、そういうスピリッツを持った者達を描いています。
ちなみに豆知識として、セオドア・ルーズベルトは、テディという呼び名で親しまれており、熊狩りの時、瀕死の熊を撃たなかったエピソードにちなんで、テディ・ベアというぬいぐるみが作られました。10月27日は、セオドア・ルーズベルトの誕生日でもあり、テディ・ベアの誕生日でもあります。


テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2010年11月20日 (土) | Edit |
1970年製作イタリア映画。
第二次大戦下のイタリアを舞台にレジスタンス(パルチザン)の英雄コルバリの生き様を描く戦争アクション。

1943年北イタリア。
虜囚の男にし野に放ち訓練された犬と兵隊の追尾から逃げ切ったら無罪という、ファシストの罰ゲーム的な遊びを偶然目にしたコルバリ。その行為に義憤を覚えたコルバリは、ファシスト打倒に目覚めます
組織に属すのが嫌いな自由人コルバリは、たった1人でファシストに対する抵抗を開始。そこに親友のカザディも加わり、2人だけで命がけのゲリラ活動を繰り広げます
ファシストへの攻撃を繰り返すうち、世間に2人の活躍は知られていき、工員のマッシモ、泥棒のミケーレ、学歴はないけれどやる気充分のカルロとドゥイリオ、若くて気合の入ったニコラ、医者の娘で看護婦のイネスなど、志を同じくする仲間が集まってきます
そして、どんどんと仲間が増えていき、いつしかコルバリのゲリラ軍は大所帯に。
軍隊も恐れるようになったコルバリ率いるゲリラ軍は、北イタリアのある街をファシストの手から開放します。そこで、コルバリは、地主の土地を取り上げ、銀行を解体、貧しい農民の借金をチャラにし、自由な街を作ることを宣言します
喜ぶ庶民らを見て、コルバリは、もっと大きく自由な自治区を北イタリアに作るという大きな夢を抱くようになり、それに向かって突き進みますが……

製作、ジュリアーニ・G・デネグリ
監督、脚本、ヴァレンティーノ・オルシーニ
脚本、レナート・ニコライ
撮影、ジュゼッペ・ピノーリ
音楽、ベネデット・ギリア
出演、ジュリアーノ・ジェンマティナ・オーモンフランク・ウォルフ、アントニオ・ピオバネッリ、ヴィットリオ・デュゼ

マカロニ活劇で御馴染みのジュリアーノ・ジェンマが、実在の人物であるコルバリを演じています。
この映画で、パルチザンの司令官を演じたフランク・ウォルフは、この映画の翌年1971年に、謎の自殺により世を去りました。主な出演作に、「シシリーの黒い霧」「殺しが静かにやって来る」「ウエスタン」などがあります。

第二次大戦中の北イタリアで、パルチザンだった実在の人物コルバリの、ファシストに対する抵抗を描いた映画です。邦題では、派手なドンパチのある戦争映画のような印象を抱かせますが、中身はゲリラ活動を主体としたドキュメンタリータッチの作品(地味目の)となっています。
男と男の友情と絆、男と女の深い愛情など、人間ドラマ的な要素もあり、当時の社会情勢を反映した社会派的な側面もあり、ピカレスク的な娯楽要素もあり、青春映画のようでもあります。
イタリアの庶民の顔のクローズアップが印象的な、多面的で真面目な作品(邦題からはとても想像できない)です。
音楽もマルです。


テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2010年10月23日 (土) | Edit |
1970年イギリス映画。
ハマー・プロ製作のドラキュラシリーズ第6作目。

灰塵となったドラキュラ伯爵。その死体に、吸血蝙蝠が生き血をポタリと落とすと、見る見るうちに失われた肉体が復活。再びこの世に蘇えったドラキュラ伯爵。
それから時がたち、街では学生でやんちゃなプレイボーイのポールが、市長の娘に手をだし、警察に追われる破目に。そして、ポールが逃げた先は、陰気な田舎の村でした。そこの村人は閉鎖的で、一様に皆暗い顔をし、余所者を頑なに拒んでいます。村人は誰一人として、ポールを泊めようとはせず、ただ立ち去れというのみです。
仕方なくポールは、村の先にある古びた城に逃げ込むのですが、そこはドラキュラ伯爵と使用人のクローブが棲む悪魔の城でした。何も知らないポールは、ドラキュラ伯爵に事情を話し、しばらくその城に滞在させてもらう事にします。
街では、なかなか帰ってこないポールを心配した兄のサイモンとサイモンの婚約者で美しい娘セーラが、ポールの後を追って、閉鎖的な村にたどり着きます。そこで、ポールの行方の聞き込みをしますが、村人は全く協力してくれません
そして、ポールと同じように城にたどり着いた2人ですが、ドラキュラの居城にはポールの姿はありませんでした……

予告編動画リンク

製作、アイダ・ヤング
監督、ロイ・ウォード・ベイカー
原作、ブラム・ストーカー
脚本、ジョン・エルダー
撮影、モーレイ・グラント
音楽、ジェームズ・バーナード
出演、クリストファー・リー、クリストファー・マシューズ、デニス・ウォーターマン、ジェニー・ハンレー、パトリック・トラウトン

ロイ・ウォード・ベイカーは、イギリスの映画監督で、ハマー・プロでは、「バンパイア・ラヴァーズ」「ドラゴンVS7人の吸血鬼」、アミカス・プロでは、「アサイラム/狂人病棟」などといった、ある意味ホラーファンからすれば、垂涎の作品を撮っています。
ジェームズ・バーナードは、ハマー・プロ製作の映画音楽のほとんどを手がけている、ハマープロお抱えの音楽家です。
クリストファー・リーは、説明するまでもなく、ハマー・プロ製作のドラキュラ伯爵で一世を風靡した俳優です。長身で堂々とした機敏でワイルドな体躯は、ユニバーサル映画のドラキュラ伯爵役のベラ・ルゴシと共に、ホラーファンに深く親しまれています。

この作品は、結構な量の残酷シーンがあるので、ハマー・プロ作品としては、やや異色といえるかもしれません。1970年代に入ってのドラキュラだけに、多少の時代的な要請があったのでしょう。ハマー・プロも末期の作品ですし、ドラキュラも飽きられてきた頃ですから。
現在見直すと、多少チャチなところ(ドリフのコントに出てくるようなコウモリなど)や低予算を感じさせるところもありますが、クリストファー・リーのドラキュラは、野性味たっぷりで迫力充分ですし、出演している女優も、適度な色気とスタイルがあり、吸血鬼ものとしてのツボを知り尽くした、ハマー・プロ製作映画ならではの面白さがあります。真っ赤な鮮血をはじめとする鮮やかな色彩退廃的なゴシックムード激しい残酷描写など、見どころの多い作品でもあるので、再見してみるのも、たまにはいいのではないでしょうか。


テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2010年06月30日 (水) | Edit |
1972年アメリカ作品。
忌まわしい過去と因縁が連続殺人を引き起こすスラッシャー・ホラー。

1950年クリスマス・イヴ。マサチューセッツ州アーリントン郡の豪邸。大金持ちのウィルフレッド・バトラーが焼死。検視官は黒焦げになったウィルフレッド・バトラーを事故による焼死と判定
遺言により、唯一の肉親である孫のジェフリー・バトラーが屋敷を条件付で相続。その条件とは屋敷をその当時のままで保存する事
それから、20年後。
屋敷は売りに出され、ジェフリーの代理人の弁護士カーター愛人連れで町にやってきます。そして、町の市長やお偉いさんに屋敷の売却を持ちかけます。同じ頃、精神病院から患者が脱走する事件が起こります。
弁護士カーターは、縁起の悪い屋敷を忌々しく思っている町の5人の有力者達に、現金の用意と考える為の1日の猶予を与え、自身はバトラーの屋敷に泊まることにします。ジェフリーから屋敷の鍵を預かっていたからです。
しかしその夜、弁護士カーターと愛人は、何者かに、全身を斧で切り刻まれ惨殺
それをきっかけに、屋敷に関係している人間や町の有力者達が正体不明の何者かに次々と殺害されていきます。なぜか?その背後には、恐ろしくも忌まわしい過去が隠されていたのです……

予告編動画リンク

製作、アミ・アーツィ
製作、脚本、ジェフリー・コンヴィッツ
監督、脚本、セオドア・ガーシュニー
脚本、アイラ・テラー
撮影、アダム・ギファード
音楽、ガーション・キングスレイ
出演、パトリック・オニール、ウォルター・アベル、ジョン・キャラディン、ジェームズ・パターソン、メアリー・ウォロノフ、フラン・スティーヴンス、アストリッド・ヒーリン

ジョン・キャラディンは、ホラーファンからすると、ユニバーサルホラーの一連の作品でお馴染みです。デヴィッド・キャラディンキース・キャラディンロバート・キャラディンの父親でもあります。

この映画は、不思議な魅力にあふれる拾い物のホラーです。ストーリーの辻褄や場面転換など、不自然な点は多々ありますが、それらのマイナス要素を吹き飛ばすだけの、狂気と恐怖にあふれています
序盤は、弁護士が主人公のように物語が進んでいきますが、何の前ぶれもなく、弁護士が愛人もろとも何者かに斧で惨殺されてしまうので、主人公が一時的に不在状態になるという理不尽で突飛なストーリーが展開されます。誰が主人公か殺人鬼か分からぬまま話は進んでいき、なんとなく主人公とヒロインが分かりますが、真夜中に黒のサングラスをかけてパトロールしている保安官(何も見えないだろ!)や、終始村の中をウロウロしている怪しすぎる主人公(屋敷のオーナー)や、ラストの忌まわしく狂った強引な展開(ネタバレになるので書けない)に、ひょっとして作り手が狂っているのでは?という疑念が心をよぎってしまいます。
とにかく狂った人間の狂った話という一言に尽きる映画です。僕はこの映画を大肯定します。


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