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2009年12月28日 (月) | Edit |
1995年アメリカ映画。
マフィアにラスベガスのカジノの経営を任された男の実話を元にしたドラマ。

1970年代のラスベガス。
中西部のマフィアのボス達は、全米トラック運転手組合の年金基金を流用し、4件のカジノを買収。ボス達は、賭博の腕と頭の良さを見込んで、エースというギャンブラーカジノの実質的経営を任せます。エースはユダヤ人で、ツキを一切信じない、情報や数学や確率を駆使し、確実に儲けるタイプの凄腕の賭博師です。
エースは持ち前の能力を遺憾なく発揮。カジノの収益をどんどんと増やしていきます。そのためボス達の覚えもめでたく、エースは順調に成功の階段を登りつめていきます。
大物になったエースのもとに、ある日、旧友で親友のマフィアのニッキーが訪れ、ラスベガスに移住したいといいます。ニッキーは凶暴なマフィアですが、かつてはエースの用心棒でした。エースは嫌な予感がしましたが、大人しくしろとアドバイスし移住を承知します。
天職を得て、金も地位も手に入れたエースは、金と宝石が何よりも好きな美女ジンジャーに、一目惚れしてしまいます。ジンジャーは自らも大金を稼ぐ自立した女で、カジノの有名人でした。誰からも愛されるような女でしたが、しかしジンジャーには、レスターというヒモ男がいて、ジンジャーは、なぜかその男を心底愛していました。
エースはジンジャーに、200万ドルが入った貸金庫の鍵を信頼の証として与え、愛されていないまま結婚します。エースは、結婚生活を続け子供を作ることで、2人の間に愛が生まれると思っていたのです。
しかし、子供(娘)が出来、贅沢な生活を与えたにも関わらず、ジンジャーはいつまでもレスターの事を引きずっています。そして、ある日、金を持ち出し、娘を連れ、レスターのもとへ。
エースは、すかさずニッキーに電話し、レスターとジンジャーの居場所を押さえ、チンピラを使い、レスターに焼きを入れさせます
そうして、娘とジンジャーを家に戻らせますが、そこから少しずつ、エースを取り巻く全ての歯車が狂っていき、カジノを取り巻く状況も悪化していきます……

予告編動画リンク

製作、バーバラ・デ・フィーナ
監督、脚本、マーティン・スコセッシ
原作、脚本、ニコラス・ピレッジ
撮影、ロバート・リチャードソン
音楽監修、ロビー・ロバートソン
出演、ロバート・デ・ニーロシャロン・ストーンジョー・ペシジェームズ・ウッズ、ドン・リックルズ、アラン・キング、ケヴィン・ポラック、フランク・ヴィンセント、ヴィニー・ヴェラ、L・Q・ジョーンズ

巨匠マーティン・スコセッシ監督の他の代表作に、「タクシー・ドラバー」「ラスト・ワルツ」「レイジング・ブル」「アビエイター」などがあります。
ロバート・リチャードソンは、オリバー・ストーンクエンティン・タランティーノなどにも重用されている撮影監督です。
ロビー・ロバートソンは、元ザ・バンドのギタリストです。この作品では、劇中で使われる音楽のアドバイスをしています。
ロバート・デ・ニーロは、日本でも有名な名優です。代表作に「ゴッド・ファーザーPARTⅡ」「タクシー・ドライバー」「レイジング・ブル」などがあります。
シャロン・ストーンは、「氷の微笑」でのセクシー演技が強烈に印象に残っています。この作品では、ゴールデン・グローブ賞を受賞しました。
ジョー・ペシは、小柄な体躯で独特の声が印象的な役者で、「ホーム・アローン」「グッド・フェローズ」などの出演作があります。
ジェームズ・ウッズは、悪役を演じることの多い名優です。出演作に「ヴィデオドローム」「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ」「ヴァンパイア/最後の聖戦」などがあります。
L・Q・ジョーンズは、背が高く、サム・ペキンパー監督の映画の常連です。背の低いストローザー・マーティンと共演する事が多く、凸凹コンビ的に知られています。

この映画は、マーティン・スコセッシ監督が、「グッドフェローズ」と同じく、ニコラス・ピレッジと組んで作り上げたマフィア映画で、実話を元にして作られたフィクションです。「ミーン・ストリート」「グッド・フェローズ」「カジノ」と、スコセッシ監督のマフィアものの3部作的な作品となっています。
ロバート・デ・ニーロ演じるエースのモデルは、中西部のマフィアのボス達にギャンブルの腕を見込まれ、スターダストなど4つのカジノの運営を任された実在の人物レフティとあだ名された、フランク・ローゼンタールです。
ジョー・ペシ演じるニッキーは、シカゴのマフィア、トニー・スピロトロがモデルです。スピロトロは、敵対する組織の男の顔面を、万力で潰して殺害(片目が飛び出たそう)するような凶暴な男で、殺人容疑をかけられたため、旧友のローゼンタールを頼り、シカゴからベガスに移り住みます。そこで宝石強盗団を組織し、弟のマイケルと共にラスベガスで勢力を拡大しますが、派手な振る舞いがボス達の逆鱗に触れ、兄弟もろとも金属バットで撲殺されてしまいます。シカゴ郊外の畑に埋められているのを発見された時の姿は、指紋でしか判別がつかないほどの惨状だったそうです。
映画のオープニングは、ソール・バス夫妻が担当しており、ネオンと炎の中をゆっくりと落下していく男を印象的に描いています。そのオープニングを観て、スコセッシ監督は、バックの音楽にバッハのマタイ受難曲を流そうと思いついたそうです。
この作品は、ラスベガスの表と裏、そこで富と権力を手にした男達の、成功と転落を描いています。人間の欲望は限りなく、いつしかそれは暴走し、気付いた時には破滅してしまうものだと思い知らされます。
欲望の街ラスベガスが象徴するもの、それは、現代のアメリカの姿であり、ハリウッドの姿です。
マフィアが去ったあと、大企業や大資本が進出し、クリーンになったベガスは、まるでアミューズメントパークのようになってしまったというのは、正にハリウッドへの皮肉でしょう。全ての価値観が金に換算され、堕落しつつある世界に対する、スコセッシの批判的態度がみてとれます。
ところで豆知識ですが、スーパーマーケットのシーンで、スコセッシ監督の母親が出演しています。汚い言葉を吐くヴィニー・ヴェラ演じるマフィアの息子を諌める母親役です。汚い言葉を使っちゃいけないと言うのですが、演技ではなく素で注意していたそうです。少しかわいいエピソードですよね。


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2009年12月23日 (水) | Edit |
1980年アメリカ映画。
アメリカ陸軍第1歩兵師団の鬼軍曹率いる小隊に配属された4人の若者を中心に第2次世界大戦での欧州戦線を描く戦争映画。

第一次世界大戦から、アメリカ陸軍第1歩兵師団に従軍している鬼軍曹ポッサム
そのベテラン鬼軍曹が率いる小隊に、4人の若者が配属されてきます。名射手のグリフ田舎者のジョンスンジャズメンのビンチ小説家のザブです。
4人は鬼軍曹に率いられながら各地を転戦していきます……
1942年11月。トーチ作戦として北アフリカに上陸。北アフリカ戦線に勝利。
1943年7月。ハスキー作戦としてシシリーに上陸。シシリー侵攻に成功。
1944年6月ノルマンディ上陸作戦。5人は最大の激戦地オマハビーチに配属。フランス解放。
1944年9月。ベルギー侵攻。
1944年10月。ドイツのヒュルトゲンの森で苦戦。ドイツ軍の反攻に遭う。
1945年5月。チェコにてファルケナウ収容所を解放。終戦。

予告編動画リンク

製作、ジーン・コーマン
監督、脚本、サミュエル・フラー
撮影、アダム・グリーンベルグ
音楽、ダナ・カプロフ
出演、リー・マーヴィンマーク・ハミルロバート・キャラダイン、ボビー・ディ・シッコ、ケリー・ウォード、ジークフリート・ラウホ、ステファーヌ・オードラン

サミュエル・フラーは、主に同業者の映画監督にリスペクトされている監督です。代表作には、「鬼軍曹ザック」「ショック集団」「裸のキッス」などがあります。
リー・マーヴィンは、軍人や西部劇のならず者がよく似合う、不敵な面構えの頑固親父的役者で、なおかつ演技力も兼ね備えている名優です。主演作の「殺しの分け前/ポイントブランク」日本でDVD化される事を望みます。ついでに「ブラック・エース」「デス・ハント」もDVD化して欲しいです
マーク・ハミルといえば、「スター・ウォーズ」ルーク・スカイウォーカー役が有名です。そのせいで、一発屋にカテゴライズされていますが、個人的には好きな役者です。
ロバート・キャラダインは、ジョン・キャラダインの息子で、兄にキース、異母兄にデヴィッド、がいます。
ステファーヌ・オードランはフランスの女優で、「女鹿」「肉屋」「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」などに出演しています。

サミュエル・フラー監督も、軍曹役のリー・マーヴィンも、実際に第二次世界大戦を経験しているだけあって、戦争というものの本質を逃さず捉えています。
この映画には、政治家や作戦を立てるお偉いさんがでてきません。常に最前線にいる兵卒の視点で戦争の実態が描かれています。前線の兵士は、ただ命令通りに、戦闘地域に行き戦う。何のために戦うのかも知らずただ命令に従って生き残る為に戦う。決してそこにはヒーローはいないし、前線の兵士は、命令に従い、ただただ目の前の敵を、生き残る為に殺していくしかない。そして、それが、前線における名もなき兵士達の最大の使命なのだと・・
さらにこの作品では、多くの子供が出てきます。それは、実際にフラー監督が経験した事だそうで、戦闘のあと、両親を失った子供や逃げ遅れた子供の姿を、廃墟となった町で、よく見かけたそうです。戦闘で大人達は逃げてしまうが、子供や年寄りは逃げられず、町にとり残されてしまうからだそうです。
ストーリーの淡々とした流れの中に、ふんだんにユーモア(ブラックな)が散りばめられ、そこらの反戦映画のように偽善的でも声高でもなく偏ってもいない、人間というものの本質を描いている、素晴らしい映画です。ラストの収容所での悲しくも美しいシーンは、観る者に、忘れる事のできない強烈な衝撃と感動を与えてくれると思います。
理屈を重視せず本質のみを強烈に映像に叩きつけるサミュエル・フラー監督の集大成的な傑作です。是非観ましょう。
ちなみに、この再構成版(リコンストラクション)は、高名な映画史家リチャード・シッケルが、今は亡き監督の遺志を元に、削除されたり倉庫にしまわれていたフィルムなどを発掘して、1時間程度の追加シーンを、デジタル技術で復活させたものです。


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2009年12月16日 (水) | Edit |
1966年イタリア/スペイン映画。
ナバホ族のジョーが極悪非道な強盗団に復讐するマカロニ・ウエスタン。

ダンカン率いるならず者集団は、先住民の集落を襲い略奪したうえに、女子供関係なく虐殺、そして先住民の頭皮を剥ぎとり、保安官に1枚1ドルで売って金を得ています。ダンカンは、先住民と白人の牧師との混血児で、幼い頃に受けた暴力や差別により、白人と先住民の両方を憎悪するようになった、屈折した酷薄で残忍な男です。
ダンカンは、いつものように、保安官に先住民の頭の皮を売りに、とある町にやってきますが、ダンカン一味の先住民に対する虐殺や略奪があまりにも酷い為お尋ね者として指名手配されていました。
それを見て激怒したダンカンは、一味を率いて町を襲い、建物に放火し、無差別に住民を殺害暴虐の限りを尽くします
その町の酒場で、偶然、昔のムショ仲間に出会ったダンカンは、その男から、エスペランザに向かう列車が運ぶ、50万ドルの入った金庫の強奪を持ちかけられます。その男はリンという名の小悪党で、エスペランザに住む有力者の銀行家の娘婿としておさまっており、昔の身分を隠し、いまや医者をしています。
ダンカンとリンは結託し、50万ドルを狙い、列車襲撃を計画しますが、ダンカンに恨みを持ち、復讐を心に固く刻み、後を追っていたナバホ族の戦士ジョーが、そうはさせじと、ダンカン一味に孤独な闘いを仕掛けます……

予告編動画リンク

製作総指揮、ディノ・デ・ラウレンティス
製作、エルマンノ・ドナーティ、ルイージ・カルペンティエリ
監督、セルジオ・コルブッチ
脚本、ディーン・クレイグ、フェルナンド・ディ・レオ
撮影、シルヴァーノ・イッポリッティ
音楽、レオ・ニコルス(エンニオ・モリコーネ)
出演、バート・レイノルズ、アルド・サンブレル、ニコレッタ・マキャヴェッリ、フェルナンド・レイ、タニヤ・ロパート、フランカ・ポルセッロ、ピーター・クロス(ピエール・クレソワ)

ディノ・デ・ラウレンティスは、数多くの映画を製作している、イタリアを代表するプロデューサーです。
セルジオ・コルブッチは、マカロニ・ウエスタンの代表的な映画監督で、その代表作には、「続・荒野の用心棒」「殺しが静かにやって来る」などがあります。
エンニオ・モリコーネは、映画音楽の巨匠で、日本での人気も高い、素晴らしい音楽家です。
バート・レイノルズは、「トランザム7000」や「キャノンボール」などで、日本でもお馴染みのスターで、コミカルで陽気なアメリカン的アクション俳優として一世を風靡しました。代表作に、「脱出」「ロンゲスト・ヤード」「シャーキーズ・マシーン」などがあります。

ナバホ族のジョーを演じる、まだ売れる前のバート・レイノルズが、若くてスリムで、躍動感溢れる身軽なアクションを披露してくれており、その後のアクション俳優としての活躍を予感させるような、切れのある動きを見せてくれます。
ナバホ・ジョー♪ナバホ・ジョー♪という歌詞に乗せて歌われる前衛的な主題曲が、最高にクールで、さすがモリコーネ!と言いたくなるほどです。この曲を聴くだけでもこの作品を観る価値はあると思います
内容の方は、苛烈で容赦なく、女、子供、聖職者、悪党、市民と、まるで関係なく平等に(?)、次々と殺害されていく、マカロニ・ウエスタンの中でも屈指のボディ・カウントが多い作品です。あまりにも人がアッサリ殺されていくので、それが日常風景のように感じられるほどです。一応、アメリカ先住民の問題を提起してる場面もあるのですが、内容の野蛮さと残酷さが、軽~くそんなことをふっ飛ばしています。それが、短所か長所かは、観る人の主観によるでしょう
全編力押しのパワフルな構成のマカロニ・ウエスタンで、個人的には傑作だと思います。


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2009年12月11日 (金) | Edit |
1993年アメリカ映画。
邪悪なもう1人の自分が具現化し周囲を恐怖のどん底に陥れるホラー。

1968年メイン州。
小説を書くのが好きな内気な少年サッド・ボーモントは、母親にタイプライターを買ってもらい大喜び。飽くことなく小説を書き続けていましたが、突然、気を失い倒れてしまいます。病院に担ぎ込まれたサッド少年は、検査で脳内に異常が見つかり、緊急手術を受けることになります。医者が開頭してみると、なんとサッド少年の脳の中に、眼球や鼻の一部や歯などが巣食っていました。それは、サッド少年が、胎内で双子だった頃の名残で、それが脳腫瘍として大きくなってきたものでした。医者の手術で、それらは全て取り除かれ、サッド少年は助かります。
23年後。
サッド・ボーモントは、2つのペンネームを使い分ける小説家になっていました。そして、妻と双子の子供にも恵まれ、充実した日々を送っていました。ペンネームの1つは本名のサッド・ボーモントで、批評家受けはいいものの純文学の為、あまり売れていません。もう1つのペンネームは、ジョージ・スタークという名で、暴力的で猟奇的なパルプ小説を書いており、こちらは大衆受けをする内容で、大変売れています
サッド・ボーモントは、大学で文学を教えており、ある日、聴講に来ていたファンの男に、サッド・ボーモントとジョージ・スタークが同一人物だと見抜かれてしまいます。そして、その秘密をばらされたくなければ、金を用意しろと強請られてしまいます
サッドは、悩みますが、これを機に、サッド・ボーモントとジョージ・スタークが、同一人物だった事をプレスに発表し、文芸作家サッド・ボーモントとしてやっていく事を決断します
編集者とも相談し、ジョージ・スタークの名で書くときに必ず利用していた、キャッスル・ロックにある別荘のちかくの墓地の区画に、ジョージ・スタークの作り物の墓を立て撮影し、ジョージ・スタークは死んだというジョークで、公表します。
それは、世間に大いに話題になり、サッドも忙しくなりますが、ジョージ・スタークを葬ったその日から、サッドの周りの人達が次々と残忍な手口で殺されていくようになります。そして、その現場には、サッドの指紋が必ず検出されて……

予告編動画リンク

製作、デクラン・ボールドウィン
製作総指揮、監督、脚本、ジョージ・A・ロメロ
原作、スティーヴン・キング
撮影、トニー・ピアース=ロバーツ
音楽、クリストファー・ヤング
出演、ティモシー・ハットンエイミー・マディガンマイケル・ルーカー、ジェリー・ハリス、ロバート・ジョイ、ケント・ブロードハースト、ベス・グラント 

ホラー映画界の巨匠ジョージ・A・ロメロ監督といえば、いうまでもなく、ゾンビ3部作ですが、それ以外にも、「ザ・クレイジーズ」「マーティン/呪われた吸血少年」「クリープショー」などといった、ホラーの秀作を撮っています。
スティーヴン・キングは、絶大な人気を誇るホラー小説家です。たくさんの作品が映画化されており、中でも、「スタンド・バイ・ミー」「ショーシャンクの空に」は、評価も人気も高く、多勢の人に支持されています。
ティモシー・ハットンは、若い頃は青春スターとして人気の俳優で、演技力も兼ね備えた実力派です。1980年のロバート・レッドフォード監督作「普通の人々」で、アカデミー助演男優賞を獲得しています。
本作でアラン保安官役を演じたマイケル・ルーカーは、「ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録」実在の殺人鬼ヘンリー・ルーカスを演じています。肝の据わった面構えが印象的な役者です。

ストーリーとしては、自分の中のもう1人の邪悪な自分という、「ジキルとハイド」のような古典的な主題ですが、キング作品らしく、よりグロテスクにより猟奇的に、描かれています。
ホラー映画として、たいへん良く出来ており、映像も演出も特殊効果も上出来です。個人的には、傑作だと思うのですが、ラストの救われ方が、いかにもキリスト教的で、少し鼻白んだのも事実です。しかし、大量のスズメが象徴するものが、我々現代人だとすると、ラストはいかにもロメロ的で面白いかもしれません。つまり、何もかも貪欲に消費し尽くした我々が地獄(ランド・オブ・ザ・デッド)に飛んでいってしまう!
真実は分かりませんが、2つの意味を持つラストだとしたら、かなり興味深いことではあります。
理屈はどうあれ、観て損なしのオススメのホラー映画です。


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2009年12月06日 (日) | Edit |
1980年アメリカ映画。
テロリストと英国政府に雇われたプロの潜水工作チームとの決死の闘いを描いたサスペンス・アクション。

英国政府が所有する北海油田の掘削基地ルースとジェニファー。中でもジェニファーは北海でも最大規模の掘削基地です。
その油田に、冷徹なクレイマー率いるテロリスト集団が、油田に部品を供給する大型船エスター号を乗っ取り、2つの油田と船に強力な爆弾を仕掛けます。そして英国政府に対し、24時間以内2500万ポンドを用意しなければ、油田基地のルースとジェニファーと自らが乗っとったエスター号を爆破するといいます。もし、その爆弾が爆発すれば、油田で働く600人以上の人間の命と英国経済を揺るがすほどの多額の損失が生じる事は間違いありません。
そこで英国政府は、民間組織潜水工作のプロフェッショナル集団を率いる優秀な男フォークス(皮肉屋)に、テロリストの制圧密かに依頼
早速、フォークスは、自ら鍛えた部下達と共に、テロリスト制圧に乗り出しますが……

参考動画リンク

製作総指揮、モーゼス・ロスマン
製作、エリオット・カストナー
監督、アンドリュー・V・マクラグレン
脚本、ジャック・デイヴィス
撮影、トニー・イミ
音楽、マイケル・J・ルイス
出演、ロジャー・ムーアジェームズ・メイソンアンソニー・パーキンスマイケル・バークス、デイヴィッド・ヘディソン、ジャック・ワトソン

アンドリュー・V・マクラグレン監督は、ジョン・フォードの弟分のような感じで、たくさんの西部劇を撮っています。手堅いけれどいまいち華のない印象の監督でしたが、1978年に「ワイルド・ギース」という戦争映画の傑作を世にはなっています。
ロジャー・ムーアは、言わずと知れた3代目ジェームズ・ボンド役で有名な役者です。洗練された英国的な色男です。
ジェームズ・メイソンは、「邪魔者は殺せ」「砂漠の鬼将軍」「ロリータ」などの代表作があり、多彩な役を演じ分けることのできる名優です。
アンソニー・パーキンスは、「サイコ」での、ノーマン・ベイツ役が有名すぎて、他の役がかすんでしまいますが、他の出演作に「さよならをもう一度」「審判」「扉の影に誰かいる」などがあります。

民間の工作潜水夫チームを率いるロジャー・ムーア演じるフォークスが、大の猫好きで女嫌い、酒好きだけれどタバコ嫌い、そして趣味が刺繍という、なかなか風変わりなキャラクターで、面白かったです。
悪役のテロリストたちのキャラクターも変わっていて、謎の日本人2人組みや、ケント・デリカットのような爆弾製造のプロ船酔いでずっと吐き続けていた男など、何の為に集まったテロリストなのかが分からないところも面白かったです。アンソニー・パーキンス演じるテロリストのボスが、お金目的だ!とは劇中で言っているのですが、脱出手段を考えていないなど、皆を道連れに爆死しに来たとしか思えない、狂った非情っぷりには、痺れました
ところで、いつも思うのですが、ユニバの字幕の酷さがビデオテープの頃から改善されないのは、なぜなんでしょう。全てが酷いとはいいませんが、酷い割合が高いと思います。


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2009年12月04日 (金) | Edit |
1957年アメリカ映画モノクロ。
連続強盗に間違えられ逮捕された男の実話をもとにしたサスペンスドラマ。

NYの高級クラブで、生バンドのベーシストの仕事をして生活している、真面目な男クリストファー・エマニュエル・バレステレロ。クリストファーは、お酒も飲まず毎日必ず定刻に帰ってくるような家族思いの家庭人です。美しい妻ローズ2人の可愛い男の子にも恵まれ、貧しいながらも幸せな日々を送っていました。
ある日、妻のローズが、親知らずが生えてきて苦しんでいたので、クリストファーは、ローズの歯の治療費の捻出の為、保険証書を担保にお金を借りに、保険会社の窓口に行きます。しかし、それが、クリストファーと家族の運命を大きく狂わせることになります
窓口に向かったクリストファーを見て、窓口の係員やその同僚達は驚愕します。以前、押し入ってきた強盗に顔が瓜二つなのです。そして、クリストファーに気付かれないよう警察に通報。結果、クリストファーは警察に逮捕されてしまいます
取調べで、クリストファーは無実を訴えますが、筆跡鑑定で犯人と同じスペルミスをしてしまった事で、状況は不利に傾きます。目撃者の証言でも、クリストファーが犯人だという証言者ばかりで、拘置所のクリストファーは、絶望感にさいなまれます
それでもクリストファーは無実を証明する為、身内に保釈金7500ドルを借金し、良心的な弁護士オコーナーに弁護を依頼します。そして、妻のローズと共に、アリバイを証明してもらえる証言者を見つけますが、訪ねてみると、証言者は、いずれも亡くなっていました
耐えに耐えてきましたが、ここにきて、心労と疲労でローズの精神は限界に達し、とうとうノイローゼになってしまいます。
神に見放されたかのように、次々と不幸が重なるクリストファーと家族は、一体どうなってしまうのでしょうか……

予告編動画リンク

製作、ハーバート・コールマン
監督、アルフレッド・ヒッチコック
原作、脚本、マックスウェル・アンダーソン
脚本、アンガス・マクファイル
撮影、ロバート・バークス
音楽、バーナード・ハーマン
出演、ヘンリー・フォンダヴェラ・マイルズアンソニー・クエイル、ハロルド・J・ストーン、チャールズ・クーパー、ジョン・ヘルダブランド、エッシャー・ミンシオッティ

この作品以降のヒッチコック監督は、円熟期と言っていい時期に入ります。1956年「知りすぎていた男」から1963年「鳥」までの、フィルモグラフィの凄さは、誰しもが認めるところでしょう。
ロバート・バークスは、ヒッチコック監督作でも傑作と名高い作品の多くの撮影を担当しており、「泥棒成金」では、アカデミー撮影賞を獲得しています。
バーナード・ハーマンは、「サイコ」の音楽が有名ですが、他にも、「市民ケーン」「めまい」「北北西に進路をとれ」「愛のメモリー」「タクシー・ドライバー」など、幾多の傑作映画音楽を残しています。
名優ヘンリー・フォンダの他の代表的な出演作に、「モホークの太鼓」「怒りの葡萄」「荒野の決闘」「十二人の怒れる男」「ウエスタン」などがあります。
ヴェラ・マイルズは、この作品の撮影中、ジョン・フォード「捜索者」と掛け持ちで撮影していた為、イギリス、アメリカの両巨匠から、それぞれ、フォードには「芝居がイギリス臭いぞ」とか、ヒッチには「頭に藁がついてるぞ」などと、からかわれたそうです。

シリアスリアリスティックな作りの映画で、NYロケといい、あからさまな宗教色といい、セミドキュメンタリータッチの手法といい、ヒッチコック作品の中でも、とりわけ異色です。
重くて暗いストーリーで社会的な映画なので、ヒッチコックのカメオ出演シーンは劇中には無く、冒頭で音楽ステージから、これから観る映画の紹介をするという形式での出演に止まっています。
印象的なのは、ヘンリー・フォンダの演技で、都市に住む普通の男を演じきっています。目の演技が最高だと思います。
事実を元にしているので、地味(ヘンリー・フォンダが大活躍して自分で犯人を捕まえたりしない)ですが、リアルさに加え、抑制された演出、時折でてくるヒッチコックらしいテクニカルな映像など、全てが過剰ではなく、見事な調和を保ち、映画としては、破綻の無い硬質な傑作となっています。
ヒッチコック監督の、一つの区切りとなるような興味深い映画です。是非観ましょう。


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