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2010年04月24日 (土) | Edit |
1915年製作アメリカ作品サイレント・モノクロ染色版。
南北戦争と南部の復興期を舞台にした映画史に残る2部構成の超大作映画。

第1部 南北戦争編
北部に住むストーンマン家南部に住むキャメロン家は、家族ぐるみで付き合いをしています。
ストーンマン家は政治家の父と男兄弟2人、そして美しい娘エルシーの4人家族。キャメロン家は、医師の父親と母親、男3兄弟と2人の娘の7人家族です。
ストーンマン家の男兄弟フィルとトッドが、キャメロン家の兄弟たちに会いに南部にやって来ます。滞在中、キャメロン家の長男ベンは、フィルから妹のエルシーの写真を見せてもらいます。エルシーは子供から大人になり大変美しくなっていました。それをみたベンは、エルシーに一目惚れし、心の中で結婚を夢見ます。一方トッドは、三男のデュークと、滞在中ずっと、お互い無邪気にじゃれ合って遊んでいました
そして、ストーンマン兄弟は、キャメロン兄弟と再会を約束し、帰郷します。
しかし、そんな幸せな関係にも暗雲が垂れ込める事態が・・
南北戦争が始まったのです。
南部と北部敵味方に分かれてしまった両家
そして、戦地に赴く両家の兄弟たち
皮肉な運命は容赦なく両家を襲います。偶然、同じ戦闘地域に配属になった北軍のストーンマン家のトッドと南軍の三男デュークは、戦場の最前線で顔を合わせます。お互いに気付いた2人は、どちらも固まってしまい、そして、お互いを殺す事ができずに、銃撃され、共に折り重なるように戦死してしまいます
キャメロン家は、次男のウェイドも戦死。長男のベンは、南軍で小大佐とあだ名される存在で、敗色濃厚な南軍の中でも勇猛果敢に奮闘していました。しかし、時代の流れには逆らえません。北軍に敵中突破を仕掛けるも、衆寡敵せず、重傷を負い意識を失ってしまいます。小大佐ベンが目を覚ました時、そこは北軍の陸軍病院でした。偶然、その場にいたストーンマン家のフィル大尉が、小大佐ベンを助けたのです。その陸軍病院で、小大佐ベンは、運命的な出会いをします看護師としてストーンマン家の娘エルシーが働いていたのです
看護師のエルシーとも仲良くなり、傷も癒えたベンは、リンカーン大統領の恩赦もあり、故郷へ帰ります。
南北戦争は、北軍勝利で終わり、アメリカ合衆国に統一
リンカーン大統領の寛容な政策もあり、南部は徐々に復興の道をたどります。しかし、リンカーン大統領が、NYで舞台を観劇中、ジョン・ウィルクス・ブースに暗殺されてしまいます
第2部 南部再建編
戦後、北部から南部へカーペットバガーが押し寄せます。カーペットバガーは政治を利用し、権力を握ります。急進的政治家として権力を握ったストーンマン家の父親は、白人と黒人の混血政治家リンチをキャメロン家の住む南部の州に派遣します。リンチは黒人を扇動し政治組織を作らせ、そして自らは州の副知事に就任します。
多数派を占め、横暴を極める黒人達に対し、かねてより苦々しく思っていた南部の白人達は、KKK団を結成します。
そんなさなか、北部から、ストーンマンの父親と共に、フィルとエルシーがやってきます。エルシーとベンはお互いに好意を持つようになっており、2人はめでたく婚約しますフィルもキャメロン家の長女マーガレットに好意を寄せている様子
しかし、恋愛とは別に、黒人勢力の横暴は、キャメロン家の住む州でも頻繁におこり、それに耐えかねたベンは、KKK団に入団します。
KKK団は黒人組織に対抗し、黒人に対する私刑を開始
問題を重く見たリンチは、報復としてKKK団の3人を殺害します。そして、後ろ盾のストーンマンに、キャメロン家のベンもKKK団の一員である事を報告します
父親からベンの事を聞いたエルシーはショックを受け、婚約を破棄。ベンもショックを受けます。しかし、ベンは南部の白人の為、KKK団の活動を続けます
そして、ついに決定的な事件が‥
キャメロン家の末娘フローラが、リンチの子飼いの黒人兵士ガスに、レイプされそうになり、貞操を守る為、自ら高い崖の上から飛び降り死んでしまうのです
我慢と怒りと悲しみが頂点に達したベンはKKK団を率い……

予告編動画リンク

製作、監督、脚本、デイヴィッド・ウォーク・グリフィス
原作、トマス・ディクソン・ジュニア
脚本、フランク・E・ウッズ
撮影、G・W・ビッツァー
音楽、ジョゼフ・カール・ブレイル
出演、リリアン・ギッシュメエ・マーシュ、ヘンリー・B・ウォルソル、ミリアム・クーパー、メアリ・アルデン、ラルフ・ルイス、スポティスウッド・エイトケン、エルマー・クリフトン、ロバート・ハーロン、ジョージ・シーグマン

デイヴィッド・ウォーク・グリフィスは、映画草創期に活躍したアメリカ映画の父と呼ばれる映画監督です。現代にも通じる数々の映画表現技法を生み出し、世界的に影響を与えた人物です。
撮影監督のG・W・ビッツァーは、グリフィスの片腕ともいわれる人物で、監督と共に撮影技法の発展に寄与しました。
リリアン・ギッシュは、当時、グリフィス監督のお気に入りで、多数の作品に出演しています。グリフィス作品に出演しなくなって以降も息長い活躍を続け、1970年にはアカデミー名誉賞を受賞し、1984年にはAFIの生涯功労賞を受賞しています。
ちなみに、後に映画監督となり活躍する、ラオール・ウォルシュがリンカーン大統領暗殺犯のジョン・ウィルクス・ブース役で出演しています。

この作品は、トーマス・ディクソン原作の「クランズマン」を翻案して作られており、一貫して南部の白人側の視点で描かれています。反戦のメッセージが明確に謳われているのですが、KKK団(クー・クラックス・クラン)を正当化した内容や、黒人に対する差別的な内容の為、当時のアメリカ社会に大変な物議を醸しました。黒塗りにした白人の俳優が、黒人を野卑的に演じていたり、北部の黒人擁護の白人と白人に従わない黒人は、裏切り者や野蛮人など卑怯者として描かれているので、黒人側からみると大変不快な内容だろうと思います。結果、いくつかの激しい抗議によって、差別的な場面のカットや編集を変えたところもあったようです。しかし、当時の大統領ウィルソンが作品を絶賛するなど、賛否両論渦巻くなか、この作品はヒットしました。
奴隷制を是とする黒人差別を助長しかねない作品ですが、しかし、だからといって作品自体を封印してしまうのは、あまりにも乱暴であるし、映画史的には非常に重要な作品なので、作品の背景を充分に知った上で当時のアメリカの状況を考えながら鑑賞するというのが最善だと思います。DVDの中に封入されている解説の小冊子が、そのあたりのことを詳しく書いてあるので、読むといいと思います
このDVDは、クリティカル・エディションと銘打つだけあって、95年前の映画とは思えないほどの画質を維持しています。時間も187分という長尺バージョンです。国民の創生というだけあって長いです。ちなみに2枚組みで、グリフィスの短編集も収められています。映画の初期の姿を知るにはうってつけのDVDです。観ておいて損はないです。最後に簡単に収録されている短編の紹介をしておきます。

『封印された部屋』(1909年)12分
愛する王妃が近習の音楽家と浮気しているのを目撃してしまった王は、1つしかない王妃の部屋の入り口を……
『小麦の買占め』(1909年)14分
投資家の小麦の買占めでパンなどの価格が高騰し困窮する庶民と、それによって大儲けし豪華な生活を送る投資家。そして……
『境界州にて』(1910年)15分
南軍と北軍が睨み合う境界州にて起こる、小さな子供の純真な心が起こす小さな奇跡……
『彼の責務』(1911年)14分
南軍に従軍した主人が死してもなお仕える黒人召使の忠義と自己犠牲とは……
『息子のために』(1912年)15分
一人息子に甘い医者の父親が、息子にお小遣いを渡す為、コカイン(麻薬)入りの飲料(コーク)を発明し大儲けするが……


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テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2010年04月04日 (日) | Edit |
1979年アメリカ/オランダ作品。
1879年に実際に起こった南アフリカでの大英帝国とズールー族の戦いを描いた豪華キャストのスペクタクル映画。

1879年南アフリカ英国領ナタール
ナタールは、ズールー族の王国に囲まれていました。
かねてよりズールー王国に侵攻することを狙っていた、大英帝国ナタール行政府の長ヘンリー・バートル・フレア卿チェルムスフォード中将は、使者を送り、ズールー族の王セテワヨに対し、武装解除などを一方的に要求します。
当然、セテワヨ王が従うはずもなく、ナタール行政府の思惑通り、大英帝国は、女王の名においてズールー王国に宣戦を布告することになります。
1879年1月21日
チェルムスフォード中将は軍を率い、ズールー王国に侵攻。対するズールー王国の兵力は3万人です。
重火器や銃を持たないズールー族に対し、油断しきっている大英帝国軍。その様に危機感を持ったダーンフォード大佐は、チェルムスフォード中将に対し、戦略の見直しを何度も進言しますが、全く聞き入れられず、逆に本隊から外されてしまいます
ズールー王国を行軍し、イサンドルワナにまで侵攻した大英帝国軍。ここまで全くズールー軍の動きはありません。
しかし、ズールー軍は、険しい山を越え、大英帝国軍の裏をかく動きで、すぐ近くまで迫っていました。
そして、イサンドルワナに駐留中の大英帝国軍を急襲
そうして、歴史に名高いイサンドルワナの戦いが始まります……

参考動画リンク

製作総指揮、バリー・セント・クレア
製作、ネイト・コーン
監督、ダグラス・ヒコックス
原作、脚本、サイ・エンドフィールド
脚本、アンソニー・ストレイ
撮影、オウサマ・ラウィ
音楽、エルマー・バーンスタイン
出演、バート・ランカスターピーター・オトゥールジョン・ミルズ、ナイジェル・ダベンポート、サイモン・ウォード、マイケル・ジェイストン、ピーター・ヴォーギャン、デンホルム・エリオットボブ・ホスキンス

ダグラス・ヒコックスの主な監督作に、「ブラニガン」「スカイ・ライダーズ」などがあります。
サイ・エンドフィールドは、1963年に「ズール戦争」を監督しています。題名が紛らわしいですが、同じズールー戦争でも、違う局面の戦いを描いています。
エルマー・バーンスタインは、多数の映画音楽を手がけているアメリカの作曲家で、「大脱走」「荒野の七人」などの音楽で、よく知られています。「モダン・ミリー」では、アカデミー作曲賞を受賞しています。
バート・ランカスターは、息の長いアメリカの名優で、数多くの作品に主演しています。「地上(ここ)より永遠に」「OK牧場の決斗」「許されざる者」「山猫」「泳ぐ人」「大空港」など、いちいち挙げたらきりの無いほどです。ニューシネマ期の主演作「さすらいの大空」が、日本で未だソフト化されていないのは残念です。
この作品での、ピーター・オトゥールは、大英帝国の軍人チェルムスフォード中将を演じています。やはり大英帝国の軍人役は、オトゥールに似合います。
ジョン・ミルズは、ナイトの称号を得ているイギリスの名優です。
デンホルム・エリオットは、本国イギリスで評価の高い名脇役です。
ボブ・ホスキンスは、背の低いイギリスの名優で、「ロジャー・ラビット」「スーパー・マリオ」でのマリオ役など、コミカルな役柄が印象的です。
「レイダース」のラストで、顔が溶けて壮絶な死をとげるナチスを演じた、ロナルド・レイシーが従軍記者役で出演しています。

他民族や他国の文化や風習や宗教を、認められない野蛮で悪いものだと見做し、自らの法や価値観や宗教を押し付け、彼らが従わないとなると、圧力をかけ実力行使にでる。彼らは危険な隣人で、危害を加えられる前に叩くという論理で。
文化や価値観や宗教や肌の色が違う者に対する偏見と恐怖。争ったお互いは、いつまでも相容れることは無く、憎しみの連鎖を生んでいく
ずっと昔から、人間は争い、それは現代まで続いている。お互いの正義を振りかざして・・その正義は常に一方通行で、それは、ある一方の正義でしかない。そして時代と共に正義も変わる。争いは尽きる事は無い
善悪とは何か、出来るだけフラットにものを見ていきたいと思いました。


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