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2010年06月30日 (水) | Edit |
1972年アメリカ作品。
忌まわしい過去と因縁が連続殺人を引き起こすスラッシャー・ホラー。

1950年クリスマス・イヴ。マサチューセッツ州アーリントン郡の豪邸。大金持ちのウィルフレッド・バトラーが焼死。検視官は黒焦げになったウィルフレッド・バトラーを事故による焼死と判定
遺言により、唯一の肉親である孫のジェフリー・バトラーが屋敷を条件付で相続。その条件とは屋敷をその当時のままで保存する事
それから、20年後。
屋敷は売りに出され、ジェフリーの代理人の弁護士カーター愛人連れで町にやってきます。そして、町の市長やお偉いさんに屋敷の売却を持ちかけます。同じ頃、精神病院から患者が脱走する事件が起こります。
弁護士カーターは、縁起の悪い屋敷を忌々しく思っている町の5人の有力者達に、現金の用意と考える為の1日の猶予を与え、自身はバトラーの屋敷に泊まることにします。ジェフリーから屋敷の鍵を預かっていたからです。
しかしその夜、弁護士カーターと愛人は、何者かに、全身を斧で切り刻まれ惨殺
それをきっかけに、屋敷に関係している人間や町の有力者達が正体不明の何者かに次々と殺害されていきます。なぜか?その背後には、恐ろしくも忌まわしい過去が隠されていたのです……

予告編動画リンク

製作、アミ・アーツィ
製作、脚本、ジェフリー・コンヴィッツ
監督、脚本、セオドア・ガーシュニー
脚本、アイラ・テラー
撮影、アダム・ギファード
音楽、ガーション・キングスレイ
出演、パトリック・オニール、ウォルター・アベル、ジョン・キャラディン、ジェームズ・パターソン、メアリー・ウォロノフ、フラン・スティーヴンス、アストリッド・ヒーリン

ジョン・キャラディンは、ホラーファンからすると、ユニバーサルホラーの一連の作品でお馴染みです。デヴィッド・キャラディンキース・キャラディンロバート・キャラディンの父親でもあります。

この映画は、不思議な魅力にあふれる拾い物のホラーです。ストーリーの辻褄や場面転換など、不自然な点は多々ありますが、それらのマイナス要素を吹き飛ばすだけの、狂気と恐怖にあふれています
序盤は、弁護士が主人公のように物語が進んでいきますが、何の前ぶれもなく、弁護士が愛人もろとも何者かに斧で惨殺されてしまうので、主人公が一時的に不在状態になるという理不尽で突飛なストーリーが展開されます。誰が主人公か殺人鬼か分からぬまま話は進んでいき、なんとなく主人公とヒロインが分かりますが、真夜中に黒のサングラスをかけてパトロールしている保安官(何も見えないだろ!)や、終始村の中をウロウロしている怪しすぎる主人公(屋敷のオーナー)や、ラストの忌まわしく狂った強引な展開(ネタバレになるので書けない)に、ひょっとして作り手が狂っているのでは?という疑念が心をよぎってしまいます。
とにかく狂った人間の狂った話という一言に尽きる映画です。僕はこの映画を大肯定します。


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テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2010年06月13日 (日) | Edit |
1949年アメリカ映画。
理想を追い求め郡の会計係から政治家にまで成り上がった男の人生の変転を描く社会派ドラマ。

アメリカの片田舎。市の行政官の不正と腐敗を訴え続ける男。その男の名はウィリー・スターク無学粗野ながらも正義感が強く酒も飲めない正直者。ウィリーは、不正と腐敗をただそうと立ち上がり、市の会計係に立候補します
一方、その様子を取材していた新聞記者のジャック・バートンは、ウィリーの人柄と政治姿勢に共感。新聞紙上にウィリーの擁護記事を書きます
しかし、ウィリーは、土地の権力者と既得権者の嫌がらせと妨害にあい、さらには民衆の支持も集められず落選
失意のウィリーですが、ここから彼は、ガッツを発揮します。教師だった奥さんの助けを借りながら猛勉強を重ね、見事カレッジを卒業し、法学士になります。
法学士になったスタークは、貧しいものや農民達の為に弁護活動をし、弱者の味方として有名になります
そんな中、古くなった小学校で、階段が崩れるいたましい死亡事故が発生。ウィリーは、すかさず行政と政治の責任を追及。一躍、政治改革のシンボル的スターに
そして、ウィリーは、周りの有力者達に乞われて、州知事選挙に出馬。しかし、それは対立候補の罠でした。改革派の他候補と票が割れるのを計算してウィリーを利用したのです。一方、今回も新聞記者のジャックは、ウィリーの擁護記事を書こうとしますが、新聞社は記事を採用しようとはしません。新聞社に圧力がかかっていたのです。絶望したジャックは、新聞社を辞め、ウィリーのもとで選挙の手伝いをします。
罠とも知らず懸命に選挙活動を行うウィリー。しかし、改革派の他候補と票を喰い合い落選。守旧勢力の目論見どおりになってしまいます。
4年後
色んな職を転々としていた元新聞記者のジャック。思い立ってウィリーを訪ねてみると、彼は知事選挙の準備中でした。ウィリーは、4年前とは見違えるほどにカリスマ性を増し演説も態度も堂々とした素晴らしいものになっていました。ジャックはウィリーに側近として雇われ、彼の右腕となります。ウィリーの政治的な手腕も老獪さを増し、あらゆる勢力と取引したり、かつての敵も部下にするなどして基盤を固めていました。そして、選挙の結果、民衆の熱狂的な支持の元、見事に大差で当選します
いよいよ州知事になったウィリー・スターク。彼は強引ながらも公約を次々と成し遂げていき州は発展。ウィリーは、ますます民衆に支持され、名声も高まります。
しかし、独裁的目的の為には手段を選ばないウィリーに、もはや昔の面影は残っていませんでした……

予告編動画リンク

製作、監督、脚本、ロバート・ロッセン
原作、ロバート・ベン・ウォーレン
撮影、バーネット・ガフィ
音楽、モリス・ストロフ
出演、ブロデリック・クロフォードジョン・アイアランドジョン・デレクマーセデス・マッケンブリッジ、ジョアン・ドルー

ロバート・ロッセンは、硬質な映画作りをする監督で、赤狩りのブラックリストの1人でもありました。その為、不遇の時が長く、寡作です。マッカーシズムのハリウッドへの波及がなければ、もっと映画を撮れてたであろうと思うと残念でなりません。
撮影のバーネット・ガフィは、「地上(ここ)より永遠に」「俺たちに明日はない」で、白黒でもカラーでも、アカデミー撮影賞を受賞しています。
モリス・ストロフは、優れたミュージカル音楽家で、そのキャリアにおいて3度オスカーを手にしています。
ブロデリック・クロフォードは、この映画での、ウィリー・スターク役でアカデミー主演男優賞を受賞しています。貧乏で正直な理想家から、独裁的な手法で州を支配する政治家を見事に演じています。
ジョン・アイアランドは、気付くと色々な映画に出演している(個人的な感想ですが)俳優です。
ジョン・デレクは、ウルスラ・アンドレスボー・デレクとかつて結婚していた、非常にうらやましい(個人的な感想ですが)俳優です。
マーセデス・マッケンブリッジは、この作品で、アカデミー助演女優賞に輝きました。オカルト映画の傑作「エクソシスト」での悪魔の声役でも有名で、タバコや生卵などで声を潰し役に挑んだにも関わらず、映画のクレジットにも載らなかったという悲しい話があります。ちなみに現在は、きちんとクレジットされています。

この映画は、社会的メッセージの濃い作品で、民主主義とは何か、権力とは政治とは何のためにあるのかを考えさせてくれます。劇中で、ウィリー・スタークが言い放つ、「人は罪と腐敗に生まれる」という言葉は、権力にとりつかれた人間だけでなく、一般の私たちにも当てはまる鋭い名言だと思います。
ウィリー・スタークは、民衆に対し公約した事を、手段を選ばず独裁的なやり方で次々と成し遂げていきますが理想主義的なクリーンな政治とはかけ離れてしまいます。しかし、今の日本の政治に当てはめてみるとクリーンでもなく公約も果たせず、ただ右往左往している政治家の堕落ぶりをみるにつけ、こんなんじゃ、よっぽどウィリー・スタークの方が優れているしマシだなと思ってしまいます。なので、今の日本の政治状況では、この映画は社会派映画として機能しないという、極めて皮肉な結果となってしまいます。
ウィリー・スタークを待望してしまう社会。そう思わざるを得ない絶望的閉塞感。今の日本の末期的症状に、おもわずため息をもらしてしまいました。


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