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2011年05月28日 (土) | Edit |
1975年アメリカ作品。
権謀術数渦巻く1904年のモロッコのタンジールを舞台にした歴史大作。

1904年モロッコ。植民地主義の吹き荒れる時代。北アフリカの植民地化による安定化を目指している、英、仏、独、露の欧米列強
彼らはモロッコのスルタン(君主)に対し圧力をかけ、事実上の傀儡政権にしようとしていました。
そんな政治のパワーバランス的な駆け引きと各国の思惑が入り乱れる中、事件が起こります。
ベルベル人でリフ族の首長ライズリーが砂漠からタンジールの街に侵入。米国公使の未亡人ペデカリス夫人と2人の姉弟を誘拐したのです。
そして、金貨とライフル、国を牛耳る知事の首を、スルタンに要求します。
アメリカ政府は、モロッコのスルタンに対し、軍事的な圧力をかけますが、複雑な政治情勢のためうまくいきません。
アメリカ国民を守る為、アメリカのルーズベルト大統領は、軍事介入を決断。一方、ライズリーは、自国の誇り自分の誇りにかけて、仲間を率い、抵抗します……

予告編動画リンク

製作、ハーブ・ジャッフェ
監督、脚本、ジョン・ミリアス
撮影、ビリー・ウィリアムズ
音楽、ジェリー・ゴールドスミス
出演、ショーン・コネリーキャンディス・バーゲンブライアン・キースジェフリー・ルイス、ヴラデク・シェイバル、スティーブ・カナリー、ジョン・ヒューストン

ジョン・ミリアスは、脚本家から監督になった人物で、国粋主義者として知られています。
ビリー・ウィリアムズは、「ガンジー」で、アカデミー撮影賞を受賞しています。
ジェリー・ゴールドスミスは、アメリカ映画界の名作曲家で、「チャイナ・タウン」「オーメン」「エイリアン」「グレムリン」など、多種多彩な映画音楽を手がけています。職人的な姿勢が好感のもてる音楽家です。
ショーン・コネリーは、この映画と同年に作られたジョン・ヒューストン監督作の映画「王になろうとした男」にも主演しています。「王になろうとした男」は、ショーン・コネリーが未開人を率いて王になる話でした。
ジョン・ヒューストン監督は、この映画で、当時のアメリカの国務長官ジョン・ヘイを演じています。

敵であっても、誇りと勇気を持って勇敢に闘う事ができる人間は、尊敬に値するのだ、というメッセージにつきる映画です。
生き方や文化が違ったとしても、その人間に闘争心やガッツや信念があるならば、互いに尊敬できるし通じ合える。それは、たとえお互いに殺しあうことになろうとも、変わらない。
自由と誇り高き勇敢さ、これこそ風とライオンなのだ。そして、それは戦士の矜持でもある。
セオドア・ルーズベルトの名言に「勝利も敗北も知らずに灰色の薄暗がりで生きて、楽しむことも苦しむこともしない哀れな者と肩を並べるより、たとえ失敗しようとも思い切って偉大なことに挑んだり、栄光ある勝利を勝ち取ろうとする者の方が、ずっと素晴らしい。」というものがあります。
この作品は、そういうスピリッツを持った者達を描いています。
ちなみに豆知識として、セオドア・ルーズベルトは、テディという呼び名で親しまれており、熊狩りの時、瀕死の熊を撃たなかったエピソードにちなんで、テディ・ベアというぬいぐるみが作られました。10月27日は、セオドア・ルーズベルトの誕生日でもあり、テディ・ベアの誕生日でもあります。


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テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2011年05月09日 (月) | Edit |
1963年製作アメリカ作品モノクロ。
冷戦下の核戦争の恐怖を描いた傑作ブラック・コメディ。

アメリカ空軍基地司令官のリッパー将軍が、独断で軍の最高機密R作戦を決行。R作戦とは、ワシントンが攻撃された時の為の非常時の作戦で、大統領の命令がなくても、他国に核攻撃ができるというものです。コミュニストにアメリカが侵略されているという妄想にとりつかれているリッパー将軍は、基地を封鎖し、外部との通信を遮断。部下達には、基地の守りを固め、近づいてくる軍隊は全て攻撃するように命令します。そして、核兵器を乗せた爆撃機を、ソビエト連邦へ向かわせます。
ソビエト連邦に、自軍の爆撃機が向かっているのを察知したアメリカ政府は、大統領以下、軍の最高司令官や科学者を集め、緊急会議を開きます。刻々と核攻撃のタイムリミットが迫る中、アメリカ大統領は、ソビエト連邦の大使も招き、なんとか事態の収拾を図ろうとするのですが……

予告編動画リンク

製作、監督、脚本、スタンリー・キューブリック
原作、脚本、ピーター・ジョージ
脚本、テリー・サザーン
撮影、ギルバート・テイラー
音楽、ローリー・ジョンソン
出演、ピーター・セラーズジョージ・C・スコットスターリング・ヘイドンキーナン・ウィンスリム・ピケンズジェームズ・アール・ジョーンズ

この映画のユーモア部分は、脚本家のテリー・サザーンの力によるものが大きいです。ビートニクからヒッピーへといたる架け橋となるような人物で、映画では、「バーバレラ」「イージー・ライダー」の脚本で有名です。
ギルバート・テイラーは、英国のカメラマンで、ポランスキー監督の、「反撥」「袋小路」「マクベス」などを手がけています。
英国の名優ピーター・セラーズが、ストレンジラブ博士、米大統領、マンドレーク大佐、の3役を演じています。当初は4役の予定でしたが、セラーズが撮影中に足を負傷したため、3役になりました。演じられなくなった役は、代役として生粋のテキサス男スリム・ピケンズが演じました。
キューブリックは、名優で気難しいジョージ・C・スコットを懐柔するため、スコットが得意なチェスで勝負を挑み、スコットを打ち負かす事で、名優の信頼と尊敬を勝ち得ました。
当時、スターリング・ヘイドンは、俳優業を引退していましたが、キューブリックが映画界に呼び戻し復帰させています。
ジェームズ・アール・ジョーンズは黒人の名優で、ダース・ベイダーの声を演じています。

核兵器の恐怖を描いた傑作ブラック・コメディとして名高く、映画ファンでなくても題名ぐらいは知っていると思います。
核兵器によるアルマゲドンが、正に身近に感じられていた冷戦真っ只中の時代に製作された映画です。その為、シリアスに核戦争の恐怖を描くことを意図的に避け、ブラックコメディにすることで、核戦争や人間の愚かしさを強調して描くことに成功しています。ちなみに、この映画の試写の時期が、ケネディ大統領の暗殺事件と重なってしまい、劇場公開が延期されてしまったという話があります。
科学技術や文明が発達している現代で、人類が絶滅してしまう事なんて容易には想像し辛いかも知れません。しかし、個人的に、人類はジョークのような理由で、あっけなく滅んでしまうのではないかと思っています。それは、人間が生まれながらに持っている間抜けさに起因する終末です。
ところで、新たに見直して気付いたのですが、この作品は、性的暗喩がかなり多く含まれています。例えば、オープニングのB-52のシーンなどは、男女の性行為そのまんまといってもいいほどです。勃発、ミサイル、大砲、葉巻、爆発・・などなど、戦争は確かにセクシャルなアイテムに満ちていますね。


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