FC2ブログ
2011年09月28日 (水) | Edit |
1973年制作イタリア作品。
伝説的ガンマンと若きガンマンの男と男のやりとりを鮮やかに描いたコメディタッチのマカロニ・ウエスタン。

時は1899年。
かつて西部に名を馳せたガンマンジャック・ボーレガードは、老眼もすすみ、ガンマン稼業からの引退を決意。ニューオリンズからヨーロッパ行の船に乗ろうと旅客船を予約します。しかし突如そこに現れた謎の若者ノーボディ。ジャックに、このまま引退してしまう前に、150人もの殺し屋集団であるワイルド・バンチを倒して欲しいといいます。そしてそうすることで、ジャックが歴史に名を残すことになる事を強く訴えます。しかしジャックは当然、ノーボディ(誰でもない)と名乗る若者の提案を無視。
そして、かつての仲間でジャックを裏切った金鉱主のレッドを探しだし、殺さないことを条件に、渡航費用と引退資金をゲットし、いざ引退しようとします。
しかしノーボディは諦めず、ジャックに最高のお膳立てお用意します。機関車ごと盗んだノーボディが、その機関車を狙う150人のワイルド・バンチ団を誘い出し、ジャックのもとへ。ここへ来て、ジャックは、西部の男としての命をかけた闘いを決意。ワイルド・バンチ150騎対ジャック1人の壮絶な闘いの火蓋は切って落とされます……

参考動画リンク

制作、クラウディオ・マンチーニ
監督、トニーノ・ヴァレリィ
原案、セルジオ・レオーネ、フルヴィオ・モルセッラ
原案、脚本、エルネスト・ガスタルディ
撮影、ジュゼッペ・ルッツォリーニアルマンド・ナンヌッツィ
音楽、エンニオ・モリコーネ
出演、ヘンリー・フォンダテレンス・ヒル、レオ・ゴードン、ジェフリー・ルイスR・G・アームストロング、ジャン・マルタン、ピエロ・ルッリ

トニーノ・ヴァレリィ監督は、「夕陽のガンマン」の助監督をつとめ、後に「さすらいの一匹狼」「怒りの荒野」「怒りの用心棒」などの作品を撮っています。
セルジオ・レオーネは、言わずと知れたマカロニウエスタンの大御所です。ウエスタンでは、「荒野のガンマン」「夕陽のガンマン」「続・夕陽のガンマン/地獄の決斗」「ウエスタン」があります。
名優ヘンリー・フォンダが、伝説の老ガンマンを演じ、渋味のある演技を披露しており、その存在だけで作品に重みと深みを与えています。
テレンス・ヒルは、「風来坊/花と夕日とライフルと・・」でのトリニティ役が大当たりし、この作品に抜擢されました。二枚目だけれどコミカルな演技もできる役者です。
クリント・イーストウッドの作品で馴染み深いジェフリー・ルイスサム・ペキンパー監督のお気に入りの役者R・G・アームストロングも出演しています。

セルジオ・レオーネが一部を監督したこの作品は、トニーノ・ヴァレリィ監督からすると、甚だ不満があったようです。オープニング、長すぎるトイレのシーン、機関車強盗のシーンなどや、他にも勝手に撮ってインサートされたシーンがあり、ヴァレリィ監督はレオーネが自分を監督として認めてないかのように感じていたようです。制作にも紆余曲折があり、最初にヴァレリィが監督にオファーされたとき、当初は断りをいれたそうですが、その後何十人かの監督にオファーされた後、結局、ヴァレリィ監督が引き受けることになったそうです。テレンス・ヒルの主演した「風来坊/花と夕日とライフルと・・」「風来坊Ⅱ/ザ・アウトロー」商業的成功が、レオーネのプライド(金欲)をいたく刺激したようで、それ以上のものを作ってやる(稼いでやる)という動機のもと、製作されたものであると、ヴァレリィ監督は語っています。
なお、ラストの手紙のシーンは、日本映画の「ビルマの竪琴」からヒントを得たテレンス・ヒルが提案し採用されたそうです。
この作品はコメディタッチのマカロニウエスタンなので、日本語吹き替えで観たほうが面白いと思います。イタリアのゆる~い空気感が、最近の日本のせせこましさを忘れさせてくれますよ。


スポンサーサイト



テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画
2011年09月17日 (土) | Edit |
1916年アメリカ映画サイレント作品。
人類の偽善と不寛容を露にする4つの時代の物語を平行して描いた映画史上に残る超大作。

〈すべての時代〉
ゆりかごで眠る赤ちゃんには天からの光が差し込んでいます。
〈ユダヤ篇〉
馬小屋でキリストが生誕し、磔刑に処されるまでを描いています。
〈中世フランス篇〉
1572年に、フランスのカトリック教徒が、対立するプロテスタント(ユグノー)を虐殺した聖バルテルミの虐殺を描いています。
〈バビロン篇〉
古代バビロニアベルシャザール王と架空の人物山の娘を中心に、ペルシアのキロス王によって、古代都市バビロンが灰燼と化すまでをダイナミックかつスペクタクルに描いています。
〈現代篇〉
慈善事業の為のお金を、労働者の首切りやコストカットでまかなう企業経営者の偽善と、福祉委員会の、貧しいという理由だけでスラムに住む母親から子供を取り上げる偽善を描いています。

参考動画

制作、監督、脚本、デイヴィッド・ウォーク・グリフィス
撮影、G・W・ビッツァー
美術、ラルフ・ダイアー
舞台装置、ウォルター・L・ホール、フランク・ハック・ウォートマン
音楽、ジョゼフ・カール・ブレイル
特殊効果、ハル・サリヴァン
出演
〈すべての時代を通じて〉
リリアン・ギッシュ
〈ユダヤ篇〉
ハワード・ゲイ、リリアン・ラングドン、オルガ・グレイ、グンター・フォン・リッツォー、ウィリアム・コートライト、ジョゼフ・ヘナベリー、ベッシー・ラブ、ジョージ・ウォルシュ、ウィリアム・W・ブラウン、W・S・ヴァン・ダイク
〈中世フランス篇〉
マージェリー・ウィルソン、ユージン・パレット、スポティスウッド・エイトケン、ルス・ハンドフォース、A・D・シアーズ、フランク・ベネット、マックスフィールド・スタンリー、ジョゼフィン・クロウェル、ジョージア・ピアス、W・E・ローレンス、ジョゼフ・ヘナベリー、ルイ・ロメン、モリス・レヴィー、ハワード・ゲイ、レイモンド・ウェルズ、ジョージ・ジェイムズ、ルイ・リツ、ジョン・ブラグドンチャンドラー・ハウス
〈バビロン篇〉
コンスタンス・タルマジ、エルマー・クリフトン、アルフレッド・パジェ、シーナ・オウエン、カール・ストックデール、タリー・マーシャル、ジョージ・シーグマン、エルモ・リンカーン、グレース・ウィルソン、ロッタ・クリフトン、ジョージ・ベランジェ、アー・シン、ランジ・シン、ケイト・ブルース、ロヨラ・オコナー、ジェイムズ・カーリー、エド・バーンズ、ジェイムズ・バーンズ、ハワード・スコット、マーティン・ランドリー、アーサー・マイヤー、チャールズ・イーグル・アイ、ウィリアム・ダーク・クラウド、チャールズ・ヴァン・コートランド、ジャック・コスグローブ、アルバ・ルーベンス、ルス・ダーリング、マーガレット・ムーディー、ミルドレッド・ハリス、ポーリン・スターク、デイジー・ロビンソン、エセル・グレイ・テリー、カーメル・マイヤース、ジュゥエル・カーメン、イヴ・サザン、ナタリー・タルマジ、キャロル・デンプスター、アンナ・メエ・ウォルソル、ウォレス・リード、テッド・ダンカン、オウエン・ムーア、ウィルフレッド・ルーカス、ダグラス・フェアバンクス、フランク・カンポー、ドナルド・クリスプ
〈現代篇〉
メエ・マーシュ、フレッド・ターナー、ロバート・ハーロン、サム・ド・グラス、ヴェラ・ルイス、ミリアム・クーパー、ウォルター・ロング、トム・ウィルソン、ラルフ・ルイス、ロイド・イングラム、バーニー・バーナード、A・W・マックルア師、マックス・デイヴィッドソン、アルバータ・リー、フランク・ブラウンリー、マーグリート・マーシュ、トッド・ブラウニング、エドワード・ディロン、クライド・ホプキンス、ウィリアム・ブラウン、メアリー・オルデン、エレノア・ワシントン、パール・エルモア、ルシル・ブラウン、ルレイ・ハントレー、アーサー・マックレー、モンティ・ブルー、ビリー・カーク

デイヴィッド・ウォーク・グリフィスの他の作品に、「國民の創生」「嵐の孤児」などがあります。日本での評価はなぜか決して高くはありません。しかし、映画の父と呼ばれたグリフィスが偉大な監督であることに変わりはありません。グリフィスは、ユナイテッド・アーティスツ社(ユナイト社)の設立メンバーの一人でもあります(他には、メアリ・ピックフォードダグラス・フェアバンクスチャールズ・チャップリンがいる)。
リリアン・ギッシュは、サイレント期から1980年代まで活躍を続けた名女優です。
なおこの映画の助監督には、トッド・ブラウニングヴィクター・フレミングエリッヒ・フォン・シュトロハイムなどが名を連ねています。

この映画の日本での封切りは、1919年大正8年です。場所は帝国劇場です。労働者の権利や女性の権利が拡大していた(制限付きながらも)大正デモクラシーの時代ですね。
当時の日本の知識人は、少なくともこの時代に欧米の映画を見ていたということ(見れる環境にあった)。そして、欧米がどのような思想でどのような文化や歴史だったかをよく知っていた。アジアの国でこのような国が当時あったでしょうか。その点では日本はうまく欧米文化を取り入れる、柔軟(寛容)な国であったといえるでしょう。
それはともかく、題名の「イントレランス」は、不寛容という意味の英語です。
寛容ではない世界が、戦争や争いを生み出している、不寛容がもたらす不幸は厭くことなく歴史的に繰り返され現代にまで至っているということがわかります。
この映画で最も注目すべきなのは、バビロン篇です。巨額の費用がかけられた古代都市バビロンを再現した巨大なセットと豪華な衣装、バビロンを攻める投石機や城壁を登るため牛皮に覆われた巨大櫓、バビロニアの新兵器である火炎放射器!などが、実物大に作られ、空前絶後のスケールで画面いっぱい迫ってきます。素晴らしくスペクタクルで信じられないほどのスケールです。ついでに首チョンパシーンもあります。
4つの物語が怒涛のごとくクライマックスに向かって進んでいく演出は、現代でも通じるほどドラマチックです。
映画史の中でも重要な位置を占める作品です。興味のある方は是非観ましょう。


テーマ:DVDで見た映画
ジャンル:映画